ピアノといえば、どのような楽器の種類をイメージしますか?
ピアノは鍵盤楽器のイメージが強いですが、実は打楽器や弦楽器などの要素も持ち合わせています。
打楽器や弦楽器としてのピアノは、鍵盤楽器とはまた違う歴史や要素があるのが特徴です。
今回は、さまざまな側面から見たピアノの一面とピアノに似た楽器を紹介します。
ピアノについての知識を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
ピアノは結局何楽器か?さまざまな見方がある
ピアノは、一見すると88の白黒の鍵盤が並ぶ鍵盤楽器です。
しかし、ピアノの構造や歴史を紐解くと打楽器や弦楽器などの要素も含まれています。
ピアノに似ている楽器も多数存在していますが、それぞれに違った音色や演奏方法があります。
どの楽器にも魅力があり、それぞれの楽器の専属の演奏家として活躍している方もいるのです。
ピアノは何楽器?それぞれの観点から探る
実際ピアノが何楽器に分類されるのでしょうか?
ピアノには、さまざまな種類の楽器としての側面があります。
- 鍵盤楽器
- 打楽器
- 弦楽器
- 打弦楽器
この章では、ピアノを各楽器として見た場合の特徴について解説をしますので、ぜひご覧ください。
鍵盤楽器
ピアノは白黒の88鍵盤から成り立っており、鍵盤楽器という見られ方が一般的です。
鍵盤の数は、黒鍵盤36、白鍵盤が52あります。
88鍵盤になった理由には、人間の聴力の範囲が関係しています。
人間の耳で音色をリラックスしながら聴ける範囲が、88鍵盤で奏でる音程の域内だったためです。
ピアノに88の鍵盤がある理由については、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
打楽器
ピアノは打楽器という視点もあります。
ピアノ内部にハンマーがついており、鍵盤を触るとハンマーが弦を叩いて振動させるからです。
ピアノの音を鳴らす部分は、鍵盤・ハンマー・ダンパー・弦で構成されています。
鍵盤を押すと、振り子のように鍵盤が上がってダンパーとハンマーに響き、ダンパーとハンマーによって音を鳴らします。
足元についているペダルによって、ピアノの音に強弱をつけられるのも特徴です。
ピアノが打楽器であるという見方については、下記の記事で歴史と共に解説しています。
ピアノは打楽器なの?実は複数の要素を併せ持つすごい楽器だった!成り立ちの歴史から深堀解説
弦楽器
ピアノは230の弦が張られていることから、弦楽器とも言われます。
1つの音に対して、複数の弦が反応する仕組みとなっています。
中音から高音は3本ずつ張り、低音になるにつれて1音あたりの弦の数が減るのが主な特徴です。
なかでも、グランドピアノは弦が水平に張られており、ハンマーで弦を叩くと響板(きょうばん)を伝って音がなる構造になっています。
打弦楽器
ピアノはハンマーを弦で叩いて音を鳴らすため、打楽器と弦楽器の要素を両方持っています。
詳しく分類すると「有鍵打弦楽器」(ゆうけんだげんがっき)という種類になります。
実際、ピアノを打楽器として見て作曲された曲が「アレグロ・バルバロ」(バルトーク)です。
引用:YouTube
この曲は、アフリカやルーマニアなどの民族音楽の要素も含まれています。
打楽器さながら力強く弦を叩き、ダイナミックに連続して音を鳴らしている曲です。
ピアノに似た種類の楽器と特徴
ピアノに見た目が似ている楽器には、主に下記のものがあります。
- メロトロン
- チェンバロ
- オルガン
- チェレスタ
- グロッケンシュピール(鍵盤付き)
それぞれピアノに似ていますが、若干違う特徴もありますので比較してみてください。
メロトロン
引用:YouTube
メロトロンは1960年代に初めて世の中に出た鍵盤楽器です。
磁気テープを使って、サンプリングされた音声を再生させる仕組みになっています。
鍵盤数は初代のモデルが35鍵盤で、1つの鍵盤で1度に出せる音は約8秒です。
ザ・ビートルズやレッド・ツェッペリンなど、世界的に有名なアーティストもメロトロンを使った楽曲を制作しました。
メロトロンはテープの関係で音が長く出しにくい特徴がありますが、その特徴のおかげで数々の名曲が誕生したともいわれています。
チェンバロ
引用:YouTube
チェンバロは、弦で弾いて音を出す仕組みの楽器です。
16~18世紀、ヨーロッパの音楽界ではチェンバロがとても人気がありました。
バロック時代には、チェンバロで多くの楽曲が誕生しました。
現在のピアノの前身ともされている楽器です。
しかし、ピアノと異なり鍵盤を押すことで弦を弾いて音を出す構造になっています。
ピアノよりも軽いタッチの音色で、繊細な美しい音を奏でられます。
オルガン
引用:YouTube
オルガンは、パイプ・オルガンが音の出る仕組み(鍵盤で空気を流して音を出す)を利用して進化した楽器です。
しかし、パイプ・オルガンでは大きさと重量の問題があり、量産はできないためコンパクトなオルガンが開発されました。
オルガンには2種類あります。
1つ目は、ピアノのように「スウェル・ペダル」を踏んで空気の流れや音量を調整する足踏みオルガンです。
2つ目は、電子技術を応用して作られたハモンド・オルガンです。
足踏みオルガンの方がピアノよりも安価な場合が多いので、学校や地域の文化施設などでは足踏みオルガンを使用している場所もあります。
チェレスタ
引用:YouTube
チェレスタ(別名:セレスタ)は、アップライトピアノに似ている楽器です。
1886年頃に、フランスの楽器制作家オギュスト・ミュステルが発明しました。
鍵盤の数は、53鍵や56鍵などメーカーによって異なります。
体鳴楽器にも分類されており、共鳴箱にある鋼鉄版をフェルトハンマーで鳴らして高音域の音を出します。
音色は、ピアノよりは鉄琴やヴィブラフォンのように澄んだ音です。
次に紹介するグロッケンシュピールも、チェレスタに近い音を出します。
グロッケンシュピール(鍵盤付き)
引用:YouTube
鍵盤付きグロッケンシュピールは、チェレスタに似た外観をしていますがやや小型の楽器です。
モーツアルトのオペラ「魔笛」の劇中で、魔法の鐘の音として鍵盤付きグロッケンシュピールが使用されたとされています。
外観以外でピアノと異なる点は、ハンマーに動物の骨や鹿の角などの硬質な素材を使用している点です。
鉄琴に似ているしっとりとした響きで、演奏者は穏やかに曲を奏でられます。
ピアノや楽器の世界を深く知って楽しもう!
今回は、「ピアノは何楽器か?」をテーマに紹介してきました。
内容をまとめます。
<ピアノが分類される楽器のジャンル>
・鍵盤楽器:88の鍵盤からなりたっているため
・打楽器:ハンマーを弦で叩いて振動させるため
・弦楽器:230本の弦から成り立っているため
・打弦楽器:打楽器と弦楽器の両方の要素を持っているため ※「有鍵打弦楽器」(ゆうけんだげんがっき)に分類
<ピアノに似ている種類の楽器>
・チェンバロ:中世のヨーロッパで主流。弦を弾いて音を出す
・オルガン:足踏みオルガンと電子オルガンの2種類がある
・チェレスタ:鉄琴やヴィブラフォンに近い澄んだ音色を出す楽器
・グロッケンシュピール(鍵盤付き):しっとりとした音色の鍵盤楽器
ピアノの前身となる楽器について、下記の記事で紹介しているので関心のある方はぜひご覧ください。
【ピアノの歴史】ピアノが完成するには前身となる楽器が存在した?!
最後までお読みいただきありがとうございました。