気になる存在でありながら初心者のうちは使わない、ピアノのペダル。
早く踏めるようになりたい~!と思いながら、練習時に見よう見まねで踏んで、きれいな音の響きにならないことにがっかりする・・・初心者あるあるだと思います!
そんなピアノペダルについて、前回の記事→3本のピアノペダルの演奏記号と意味|楽譜にペダル記号がない場合は?
では、それぞれの記号と効果についてご説明しました。
となると、次に気になるのは「で、実際にどうやって踏めばいいの?」ということですよね。
そこで、今回の記事ではピアノペダルの踏み方の基本を「フォーム編」と「タイミング編」に分けてご説明します!
・ピアノペダルの踏み方(フォーム編)
・ピアノペダルの踏み方(タイミング編)
・ピアノペダルの踏み方・応用編(同時踏み・ハーフペダル)
きれいな音の響きを出すためにはどのようなコツが必要なのか、この記事を読んでマスターしちゃいましょう。
ピアノならではの奥深い表現を可能にするペダルは、初心者と中級者の間にある壁の1つだと言われています。
ピアノペダルを効果的に踏めるようになって、脱・初心者を目指しましょう!
ピアノペダルの踏み方(フォーム編)
ではまず、ピアノのペダルを踏む際のフォームからご説明します。
ペダルを踏む形に良いとか悪いとかあるの?踏めば効果があるんでしょ?と思われるかもしれません。
ですが、きれいな音を出すためにはきれいなフォームでいることは不可欠です!
免許をお持ちの方はおわかりかと思いますが、車のアクセルやブレーキのペダルにもフォームがありますよね。
あれと同じです。
自己流でやってしまうと、最初は良くても、段々繊細な操作や素早い動きなどに対応できなくなってきてしまいますし、弾いている姿も美しくありません。
正しいフォームを最初に覚えると、楽に美しいペダル使いができるようになりますよ!
今回の記事は、これからペダルを使い始めたい方向けなので、ペダル=ダンパーペダルとして話をしていきます。
というのも、まずピアノのペダルを踏む時の基礎となるのは、1番右にあるダンパーペダルのことだからです。
踏んだ時に最も印象が変化するのも、演奏中に最も活用するペダルも、ダンパーペダルです。
残りの2本、ソフトペダルとソステヌートペダルを使えるようになるためにも、まずはダンパーペダルとお友達になりましょう♪
ペダルを踏むときの足の置き方
他人がピアノを弾いている時、読者様はどこに注目しますか?
指使い?音?
なかなか足、ペダルの使い方に注目するという人はいないのではないでしょうか。
動画などでは、そもそも指と鍵盤部分しか撮っていないものが多くて、足元を見たくても見られないことも多いですよね。
意外に意識していない足元、ペダルのフォームについてまずはご説明しましょう。
ポイントは5つあります。
・足のかかとを床につける
・踏む場所はペダルの下 3分の1くらい
・親指の下、肉のついているところで踏む
・足だけで踏む
・素早く踏む
この5つをマスターすることで、ペダルを姿勢良く踏めるようになります。
では、それぞれを詳しく説明していきましょう。
足のかかとを床につける
ペダルを踏む時は、常に右足のかかとを床につけて、てこのように上下させるイメージで足を動かします。
慣れないと、かかとを上げて、つま先で踏み込んでしまいたくなるのですが、ぐっと我慢します。
かかとを付けていることで、足が固定されるので、一定の力でペダルを踏むことができますし、足が滑ってペダルから落ちてしまうことも防げます。
また、ペダルを使わないときでも、いつでもペダルが踏めるように、足はペダルの上に構えたままにしておきましょう。
踏む場所はペダルの下 3分の1くらい
あまり上すぎても強い力が必要となってしまって踏みづらいですし、かかとを床につけられないので安定しません。
かといって端すぎる場所ですと足が滑ってしまうこともあるので、適度に下の方を踏むようにしましょう。
何よりも、ペダルの付け根部分のスキマに足の指を挟んでしまうと、かなり痛いです(経験者は語る)。
大体、かかとを床につけながらペダルを踏もうとすると、ちょうど下 3分の1くらいを踏むことになると思いますが、今一度確認しておきましょう。
親指の下、肉のついているところで踏む
指先やつま先ではなく、足の裏の肉がついているあたりで踏みます。
ちょうど親指の骨の付け根がある部分、といえば伝わるでしょうか?
↑赤丸で囲んだ所です。
ここを使うことで、安定して力強い踏み込みができるようになります♪
足だけで踏む
全身でピアノを情熱的に弾く姿ってかっこいいですよね!
曲と、人と、ピアノが一体となって音楽を奏でている姿には、私も憧れています。
ですが、実はペダルを踏む時にはそれは当てはまりません。
激しい曲の場合、ノリノリで膝を振り上げて、ドーン!と勢いよく足を振り下ろしてしまいたくなるのですが・・・ダメなんです!
いつでも膝を動かすことなく、足だけでぐっと踏み込むのが、美しいペダル使い。
ドーン!と足を振り下ろしてしまうと、ペダルが激しく踏まれた時にバコッと要らぬ音を出してしまったり、足が床とぶつかって音を立ててしまったり、うまく真ん中を踏めなかったりするので、よろしくないんです。
ピアノそのものも傷んでしまいます。
体のはずみを使ってえいやっとペダルを踏むのもNGです。
足元を見られなければわからないくらいの、さりげない動きで踏むようにしましょう。
サッと踏む
いざペダルを踏む時は、躊躇なく目的の深さまで素早く踏み込みましょう。
特に最初は「これでいいのかな?」と恐る恐る踏んでしまいがちなのですが、思い切って力を込めるようにしましょう。
ゆっくり踏み込んでしまうと、中途半端に音が残ってしまったり、美しい響きが得られなかったりするからです。
ペダルを外す時も同様、変に音が残らないよう一瞬で最後まで足を上げるようにしましょう。
最初は慣れないかもしれませんが、ずっとこの5つのポイントを押さえたフォームで練習していると、意識しなくともこの形ができるようになってきます。
スポーツと一緒と考えて、毎日練習を続けていきましょう♪
ピアノペダルの踏み方(タイミング編)
では、ついに念願のペダルを実際に使ってみましょう!
この章では、以下の2点について解説します。
・楽譜内のどこでペダルを踏むか
・実際にペダルを踏むときのタイミング
ここまで分かれば、もう後は実際に練習してペダル使いを自分のものにするだけです!
ペダルを付ける時には、手だけではなく足にも集中力を分散させることが必要になってくるので、最初はできるだけ簡単な曲から練習を始めるといいでしょう。
説明に入る前に、楽譜に書かれているペダルの記号を復習しておきましょう。
踏む時 | 離す時 | |
ダンパーペダル |
(引用:ウィキメディア・コモンズ CC 表示-継承 3.0, リンク) |
(引用:ウィキメディア・コモンズ CC 表示-継承 3.0, リンク) |
もしくは |
(引用:ウィキメディア・コモンズ CC 表示-継承 3.0, リンク) |
上のPed.というのはそのままペダル、お花のような形はセンツァと読みます。
下のカッコのような形の方はペダル線と言って、カッコが終わるところでペダルを外す、もしくは踏みかえるようになっていましたね。
楽譜に指示があるところだけでなくていい!?
「こんな演奏ができるようになりたいな~」と人の演奏を聞いてイメトレしてから、自分の楽譜を見てみると・・・
あれ、あるはずのペダルの記号が書いてない?
でもさっきの演奏ではペダルをつけていたような・・・上手な人は、ペダルがなくても踏んでいるような効果を出せたりするの?と不思議に思ったこと、ありませんか?
確かに、楽譜によってペダルの指示が少し違うことはあります。
ですが実は、ピアノペダルは楽譜に記号が書かれているところだけでなく、自分がつけたいところでも自由に踏んでいいんです!
もっと広がりが欲しいな・・・ここの音をつなげたいな・・・もうちょっと強調したいな・・・と思った時には、自分の判断でペダルを足して、表現のオリジナリティを出していきましょう♪
とは言っても、慣れないうちはまず楽譜中の指示に従って踏んでみて、踏んだ時の音の響きや、どんな場所で使うのかを身につける所から始めるのがいいでしょう。
踏み方のコツや雰囲気をつかめたら、左手の音に合わせて、音が濁らないようにペダルを増やしていきましょう。
深みや広がりをもたせたい場所に自分の判断でペダルをつけられるようになったら、もう立派な中級者です。
また、ペダルは音に広がりをもたせるだけではありません。
手が小さい人の、和音が一度に弾けない、遠く離れた音をスラーで繋げない、などのお悩み解決にもペダルは大きな武器になります。
自分の弾き方に合わせたペダル使いを研究していきましょう♪
ペダルを踏み始めるとピアノの表現が広がり、さまざまな部分にペダルをつけたくなってきます。
しかし、使いすぎると曲がぼけてしまって、かえってその曲本来の美しさが損なわれてしまい、弾いている人だけが楽しい演奏になってしまいます。
また、不必要に踏みすぎることで、繊細なタッチをする指の力が失われてしまうこともあります。
ここぞ!という場面でだけペダルを使ったほうが、盛り上がりが生まれてワクワクするピアノ曲になりますよ♪
踏むタイミングは弾いた少し後
では、いざペダルを実際に踏んでいきましょう!
弾く時のコツは、「音を弾いた少し後」のタイミングをつかむことです。
楽譜上で見ると、音符のすぐ下に記号があるので音を弾くと同時にペダルを踏んでしまいたくなりますが、同時に踏んでしまうと、前の音が入ってしまい、音が濁ったまま繋がってしまうんです。
そして、足を離す時は、次の音を弾くと同時に足を離します。
次の音にまでつないでから足を離すことで、美しい広がりを保ったまま曲を続けていくことができます。
見よう見まねでペダルを踏むと、何だか期待したほどきれいじゃない音になってしまう・・・という理由はここにあります。
どれくらい後かというとほんの少し、気持ち後くらいという抽象的な表現になってしまうのですが、最初にこのタイミングを身につけることが大事になります。
自分の耳を澄ませながら、何回も練習することで、ここだ!という音が響く点を見つけていくしかありません。
1人では難しい部分なので、独学や教本でピアノを学んでいる人は、この部分だけでもオンラインレッスンなどを受けてみるのもいいかもしれません。
私も昔、はじめてペダルをつけた時はこの部分で苦労しました。
まず音の違いを聞き分けるまでが難しく、最初は「何が違うんだろう?」と思っていました。
次にどうなればいいのかは分かっても、実際に手足を動かすとなると、なかなか思ったように手と足がバラバラに動いてくれないんですよね・・・
さらにそれを曲の中で!と言われた時にはもうしっちゃかめっちゃかでした(笑)
最初は、弾く→踏む→次の音を弾く・足を外す→踏む・・・ をゆっくり行うことで順番に手と足を動かせるように練習して、徐々に素早く対応できるようにしていきましょう。
こちらの動画を参照すると、いい音と悪い音の差、タイミングが分かりやすいかもしれません。
ポピュラーピアノや弾き語り向けらしく、「コード」という言葉が出てきますが、コード=和音という理解でひとまずは大丈夫です。
(引用:YouTube)
まずは1つの音から練習してみて、それができるようになったら少し早くしてみたり、和音にしてみたり、それからゆっくりとした曲に合わせてみて・・・少しずつ難しくしていきましょう!
濁る音、濁らない音を聞き分ける耳の力も重要になってきます。
早く曲の中で使いこなしたいのに!と焦ってしまいますが、いきなり普段弾いているような曲にペダルを付けるのは難しいので、じっくり取り組んでいきましょう。
ピアノペダルの踏み方(応用編)
前章では、ピアノペダルを踏むときの基本タイミングは、「音を弾いた少し後」だとお伝えしました。
しかし、ダンパーペダルの使い方はそれだけではありません。
違うタイミングや強さで踏むことで、少しだけ音を響かせたり、強調させたりといった使い方をすることもあります。
最後に、ダンパーペダルの応用的な踏み方をご紹介します。
基本的な踏み方がマスターできたら、応用的な使い方にもチャレンジしていきたいですね♪
人によって、ピアノの弾き方や曲に対する感じ方が違うのと同様、ペダルの使い方も千差万別です。
他にも、その人ならではのペダルの使い方がありますので、ぜひさまざまな人の演奏を聞いて、そのペダルの使い方を参考にしてみてくださいね♪
応用その1:アクセントペダル
アクセントペダルと呼ばれる技法では、あえてダンパーペダルと音を同時に弾きます。
そしてすぐ、もしくは鍵盤から指を離すのと同時にペダルも離します。
さっきの基本では「やってはいけない」としたことをあえてするわけですね。
この場合、同時に弾いた音だけが強く響き、強調されます。
ですから、アクセントの付いた場所はもちろん、スフォルツァンドやフォルツァンド(その音を強く)の指示がある場所で使うと効果的です。
曲の最初やメロディーが変わる時に、強い印象を与えることができます。
応用その2:ハーフペダル
ダンパーペダルを半分ほど踏み込んで、「前の音の響きが柔らかく少し残っている」状態を保つ技法です。
半ペダル、とも呼ばれます。
ハーフ、と言いますが、半分なのは響きであって踏み込みの強さではありません。
マックスで踏んだときの、ちょうど半分の響きくらいになるように注意深く調節してペダルを踏む必要があります。
「中途半端に踏み込んだ状態」と「ハーフペダルが効いている状態」の差が最初はなかなか難しいのですが、使いこなせるとより奥深いニュアンスを生み出せるようになります♪
ハーフペダルをさらに半分くらいの響きにした、クォーターペダルという技法もあります。
他にも、強弱をつけながらペダルを踏み込むビブラートペダルという方法も。
さまざまな使い方を知ることで、ピアノがさらに豊かになり、自分の表現できる世界が広がりますね♪
ピアノペダルの踏み方について
今回は、ピアノペダルの基本の踏み方をフォームとタイミングの2つに分けてご説明しました。
・足のかかとを常に床につける
・ペダルの下 3分の1くらいを、親指の下の部分で踏む
・足だけでサッと踏む
・ペダルを効かせたい音を弾いた「少し後」にペダルを踏む
・次の音を弾くのと同時にペダルを戻す
応用的に、音を弾くのと同時にとペダルを踏んだり、半分ほど踏み込んだりすることもありますが、まずはこの基本をマスターしましょう。
ペダルはよく「耳で踏む」と言われます。
自分の耳を育て、ピアノの響きを感じることでペダルの踏み具合を調節しましょう、という意味です。
ペダルを練習する時は、音が濁っていないか、切れていないか、自分の耳を研ぎ澄ませながらピアノを弾いてみましょう!
ご覧頂き、ありがとうございました!