ピアノの音色を美しくする指の使い方|脱力とタッチの基本と練習方法

 

ピアニストが奏でるような「美しく響くピアノの音色」って憧れますよね。

 

ピアノの音の響きは、弾く場所や楽器自体によっても違ってきますが、指の使い方によって大きく変わってくるんです。

 

練習中に、「もう少し柔らかい音で弾きたいのに、何だか音が硬いなあ」なんて思ってことありませんか?

 

「音色が良いときと悪いときがあるけど何でだろう」という方もいらっしゃるかもしれません。

 

そこで、今回は以下のことについてお伝えします。

 

  • ピアノの指の使い方「脱力」と「タッチ」の基本
  • 音色を美しくする弾き方のコツと練習方法

 

実際の手の画像もまじえて解説していきますので、指の位置や形について参考になさってください!

 

【ピアノの基本の指の使い方】1. 脱力

 

「ピアノを弾くときは腕や手の力を抜く」、というのは聞いたことがある方も多いかもしれません。

 

私も小さいときにピアノ教室に通い始めたころ、先生に「力を抜いて、優しく卵を握っているような手で」と言われたのを覚えています。

 

でもこのときの私はいまいち「優しく卵を握る手」のイメージができませんでした。

 

何となく手を丸くするのは分かるのですが、力を抜く感覚が分からなくて、その時は「何となくこんな感じかなあ」で済ませていました。

 

「何となく」で済ませていたこの脱力が、実はピアノの音色を美しくするためにとても重要なんです。

 

ピアノの美しい音色に脱力が必要な理由

「ピアノを美しく響かせるには脱力が必要」といっても、ピアノの音色に脱力がどう影響しているのかって分かりにくいですよね?

 

そこで、ピアノの音が出る仕組みから、ピアノの音色と脱力の関係を簡単に説明していきます。

 

 

ピアノは鍵盤を押すと、本体の中にあるハンマーが上がり、弦を打つことで音が出ます。

 

ここでちょっと、仏壇に置いてある「チーン」と鳴るあの仏具を思い浮かべてください。(ちなみに「りん」というそうです。)

 

あれを叩くときに、叩いた後はすぐに棒を本体から離し、キレイに「チーン」という音が響きますよね。

 

しかし、叩いた後に棒を離さず本体につけているとどうでしょうか?

 

キレイな響く音は出ず、鈍い音になってしまいます。

 

 

ではこのことを、ピアノに置き換えて考えてみましょう。

 

音が出た後も、ピアノの鍵盤を強く押さえっぱなしにしてしまうとどうなるのか?

 

ピアノ本体の中でハンマーが弦に触れている時間が長くなり、ピアノの音の響きを減らしてしまうのです。

 

このように、ピアノの響きを良くするためには、脱力が重要となることが分かりますね。

 

脱力の練習方法

脱力の重要性について説明しましたが、実はいくら脱力といっても打鍵をするときは少なからず力が要ります。

 

またピアノを弾くために手を構えている状態である以上、姿勢を支える筋肉や腕を支える筋肉は働いていることになります。

 

脱力とは完全に力を抜くというより、「無駄な力が入らないようにすること」というイメージですね。

 

無駄な力を入れているつもりはなくても、勝手に力が入っている場合があるので、まずは一緒に「脱力」の練習をしてみましょう!

 

練習のパターンは二通りです。

 

①掌を上向きにして脱力

まず掌を上に向けて、鍵盤または机の上に手を置いてみましょう。

 

 

このとき肩や腕、手首や指、全体に力を抜きます。

 

筋肉の緊張は気持ちも大きく影響するので、気持ちもできるだけリラックスさせてくださいね。

 

そうすると全部の指が軽く曲がった状態になると思います。

 

これが腕全体が脱力した状態になります。

 

その手の状態を無駄な力が入らないように掌を下に向けると、ピアノを弾くときの手の完成です!

 

 

②掌を下向きにした脱力

今度は掌を下向きにして、まずは掌をベタっと鍵盤につけるようにしましょう。

 

 

そして腕全体に力を抜きます。

 

その状態から、鍵盤を奥から手前へ撫でるように触ります。

 

その動きから今度は、指をトランポリンのように鍵盤の上で軽く跳ね上げましょう。

 

 

 

手首や指は力が入らないようにして、指先で着地するような形です。

 

それを繰り返すと、無駄な力が自然に抜けて、指先は点でピアノをしっかり押せる状態を作ることができます。

 

特に練習を始める前や、練習が上手くいかない時なんかは、手に力が入りがちです。

 

そんな時は、これを試してしっかりと脱力を身につけましょう。

 

【ピアノの基本の指の使い方】2. タッチ

 

ではここからは、ピアノの音色を美しくする「タッチ」について説明していきます。

 

良いタッチを考えるには、悪いタッチについて押さえておくと分かりやすいです。

 

悪いタッチは以下のようなタッチです。

 

ピアノを弾くときの「悪いタッチ」
  • 鍵盤を強く押しすぎてしまう「圧力タッチ」
  • 鍵盤を押さえ切れていない「浮いたタッチ」

 

「圧力タッチ」は先ほどの脱力でも説明したように、鍵盤に強く圧力がかかり、キレイに音が響かないタッチです。

 

それとは逆に、「浮いたタッチ」は鍵盤を押さえるときにしっかりと押さえきれず、弱々しい音になってしまいます。

 

これらを防ぐためには先ほどの脱力と、「指先の感覚を意識したタッチ」が重要になります。

 

良いタッチってどんなタッチ?

脱力ができていても、鍵盤を押さえるときにしっかり力が伝わらなければ浮いたタッチになってしまいます。

 

指先の感覚を意識して、鍵盤に力が伝わるタッチを身につけましょう。

 

ところで、読者様は鍵盤を押さえるときに、指のどの部分が鍵盤に当たっているでしょうか?

 

理想的なのは、指の先端より少し下の辺り。

 

下の写真で赤く示した部分です。

 

 

先ほど練習した脱力の手のまま鍵盤を触ると、この部分が触れると思います。

 

鍵盤を押さえるときは、この点から鍵盤に力が伝わるようにします。

 

 

では気になるタッチの方法はというと、これも先ほど練習した「軽くトランポリンをする動き」を思い出してみましょう。

 

指先で「ポン、ポン」と着地するようにトランポリンできましたか?

 

このとき鍵盤を押さえつけているわけではなくても、指先に鍵盤がしっかり下まで下がった感覚があると思います。

 

大事なのはこの感覚です!!

 

この感覚をしっかり感じて弾くことで、浮いたタッチを防ぐことができます。

 

 

しかし音が鳴った後にトランポリンの動きのように指を跳ね上げてしまうと、特に早いフレーズを弾くときには邪魔な動きになってしまいます。

 

また、指を跳ね上げる動きは前腕や肩の筋肉に余計な力を入れて、痛めてしまう原因にもなります。

 

音が鳴った後(鍵盤を押した感覚の後)は、鍵盤の上でまた脱力の状態になるようにしましょう。

 

このようにタッチを行うことで、ピアノの音色が格段に美しく響く音色になります。

 

指先の感覚を意識したタッチの練習方法「スロートリル」

でも、「一音ずつこのタッチを意識できても、演奏の中でこれを意識するのってすごく難しいんじゃないかしら?」と思われる方もいるでしょう。

 

そう、演奏中に良いタッチを自然に意識できるようにするためには、この感覚に慣れる練習をする必要があります。

 

そこで紹介したい練習方法が、「スロートリル」です。

 

「トリル」は、元の音とその2度上の音(白鍵であれば隣の音)を交互に細かく弾く装飾音です。

 

2(人差し指)と3(中指)の指で行うトリルは比較的弾きやすいですが、3と4(薬指)の指、4と5(小指)の指で行うトリルは指が思うように動かず、タッチも弱くなりやすいです。

 

また1と3の指で行うトリルは、音のばらつきが出やすくなります。

 

このトリルを、指先の感覚を意識しながら、ゆっくりとそれぞれの指で行うことで、演奏中の複雑なメロディーでも良いタッチができるようになってきます。

 

練習するときのポイントは、以下の3点です。

 

「スロートリル」の練習のポイント
  1. 「脱力」の状態で行う
  2. 指先の感覚を意識して、鍵盤の弾く深さを揃える
  3. 鍵盤から指が離れないようにする

 

このようにスロートリルの練習を行って、1音1音響くピアノの音色にしていきましょう!

 

基本の指の使い方をマスターして美しい音色を奏でよう♪

 

美しく響くピアノの音色を手に入れるための、「脱力」と「タッチ」について説明してきました。

 

今回はピアノの弾き方という基礎的な部分についてのお話でしたが、何年ピアノを弾いていても常に意識が必要になる重要な部分です。

 

ぜひ、今回お伝えした練習方法を取り入れて、ピアノの美しい音色を奏でてみてくださいね♪

 

そしてピアノを練習していると、「このフレーズがきれいに弾けないなあ」とか、「ここでいつもミスしちゃうわ」なんてモヤモヤしてしまうこともありますよね。

 

でも上手くいかない原因が分かれば、必ずそれを克服する糸口が見つかるはずです。

 

こちらの【ピアノ楽譜】指番号つきを無料で探す方法と指番号のつけ方では、指番号を気をつけることの重要性について説明しましたが、そういった練習でのポイントやコツについて、またお伝えしていきたいと思います。

 

理想の音色や演奏を目指して、時にはしっかり休憩もしながら、練習を進めていきましょう!

 

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最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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