ブルグミュラー25の練習曲は多くのピアノ学習者に長年愛されている教本です。
その理由を、読者様は知っていますか?
一言でいうと、初級者が上達するうえで大切なことを学ばせてくれる教材だから。
と言っても、「どういうこと?」と思われるかもしれません。
ブルグミュラーに進むと、楽譜に忠実に弾くことはもちろん、その曲の音楽性を理解して曲に合った弾き方が求められます。
それに応えようとすることで、より一層技術が磨かれていくしくみになっています。
収録曲は全体的に、難しくも簡単すぎることもなく、綺麗な曲が多い特徴があります。
代表曲「アラベスク」や「乗馬」など、読者様も耳にしたことがある曲も多く含まれています。
そのようなブルグミュラーを練習に取り入れてみると、練習が楽しめる嬉しい効果が期待できるんです。
今回の記事を読むと、ブルグミュラー25の練習曲について以下の内容がわかります。
- ブルグミュラー25の練習曲はどんな人向き?難易度レベルは?
- ブルグミュラー25の練習曲の特徴と、練習で意識すること
ぜひ記事ラストまで読んでくださいね!
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ブルグミュラー25はどんな教本?レベルや学べることを解説!!
実際、ブルグミュラーコンクールという舞台があるくらい、ブルグミュラーに触れるピアノ学習者は多いです。
私、丸田カナ主催の仮想演奏会にも、ブルグミュラーから選曲してエントリーされる方がおられます。
ブルグミュラーは練習曲と言っても綺麗なメロディの曲が多いので、演奏会映えする曲が充実していると感じます。
エチュードでありながらレパートリーにもなるので、一度で二度美味しいですよね。
このように魅力ある教本「ブルグミュラー25の練習曲」について、詳しく見ていきましょう。
「ブルグミュラー」は作曲家の名前
ブルグミュラーの本名は、ヨハン・フリードリヒ・フランツ・ブルクミュラー(1806-1874)といいます。
ドイツ生まれの作曲家兼ピアノ教師であった彼が作った練習曲集の一つで、1851年に出版されたのがブルグミュラー25の練習曲です。
ブルグミュラーと同じように知名度の高い教本「バイエル」の作曲者、フェルディナント・バイエルとは同い年の1806年生まれなんですよ♪
この二人が交流をもっていた、という事実は残念ながら明らかにはなっていないようですが、この偶然はちょっと面白いですよね!
バイエルについては、こちらの記事「ピアノの独学にバイエルを使って良いの?教本の選び方と上達のコツ!」をご覧ください。
ブルグミュラー25の難易度レベル
結論からいうと、ブルグミュラー25の練習曲は「そろそろ初級を卒業するぞ!」という人にとって定番ともいえる教本です。
バイエル修了後、ソナチネはまだ難しいというレベルの人に用いられています。
入門者はバイエルから始めて、その後ブルグミュラー25の練習曲に進むのが一般的です。
このことについては、以前の記事「ピアノの教本の順番って!?難易度と豆知識・レッスンポイントを紹介」で解説しています。
ブルグミュラーのページを開いてみると、バイエルに比べて音符が細かくなっているのがわかります。(レベルアップしたんだと思えるポイントですね)
「ブルグミュラーに入る=バイエルを終えられる」くらいのレベルなので、両手での演奏を楽しめるようになってきた人が、テクニックや表現力を身につけるための教材として使われます。
お子様にももちろん使うことができますが、大人からピアノを始めた初級レベルの人、ピアノを再開されたばかり人にも最適な教本です。
もともと、小さな手の人のための教材なので、片手でのオクターブ演奏は出てきません。
なので、手が小さい大人の学習者にも使いやすいです。
すべての収録曲が、一曲あたり1~2ページの長さなので練習に取り入れやすいのも嬉しいポイントですね。(長い曲だと気力が続かないこともありますよね)
難しすぎないし、すごく簡単なわけでもないので練習を進めながら無理なく上達していける教本になっています。
使う人のことをよく考えて作られていることがわかるかと思います。
ブルグミュラー25の曲別難易度
ブルグミュラー25の練習曲の収録曲順に難易度を表にしてみました。
易しいAから、Eにいくほど難易度が上がりますが、後半は難易度が上がっているのがわかります。
難易度順に弾き進めるのも良いですし、読者様が好きな曲から練習してみるというのも良いですね。
難易度が高くないブルグミュラー25が難しく感じる原因
「ブルグミュラー25の練習曲は難しすぎないですよ」と話してきましたが、やってみると難しく感じる人もなかにはおられます。
バイエルからブルグミュラーに進み、難しく感じてしまう原因は以下の2つが考えられます。
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右手も左手もテンポよく弾きこなすことが求められるので、左右のバランス、腕や手首の脱力が大切になってきます。
左手でのメロディ演奏はこれまでほぼ未経験という人がほとんどだと思います。(伴奏は左手だという概念がくつがえされることにもなります)
もしつまづいてしまったときには、丁寧に練習していくことを心がけましょう。
ブルグミュラーの特徴3つ
バイエルにはなかった曲タイトルが、ブルグミュラーになると一曲一曲に付いてきます。
タイトルが付くことで、曲想がイメージしやすい特徴があります。
曲に感情をのせて弾くことができるので、曲を完成させていくと同時に音楽的表現を学んでいけるわけです。
タイトルから受ける印象がどの曲もストレートに表現され、素晴らしくメロディに合っていると私も思います。
これが、ブルグミュラーがピアノ学習者に親しまれやすい理由でもあります。
題名からイメージを膨らませてその曲にあった音作りをする練習ができるので、表現力を鍛えていけますよ。
バイエルには曲名がなく番号しか付いていなかったことから、バイエルにはなかったレベルを求められていることにもなりますが、読者様がレベルアップした証拠でもあるので嬉しいことですよね。
実は、バイエルを終える少し前からブルグミュラーを併用することにもメリットがあります。
バイエルに退屈してきた人が練習に取り入れるのにも、「楽しい」要素がプラスされるのでブルグミュラーはおススメです。
では、ブルグミュラー25の練習曲の特徴をもっと掘り下げていきます。
- 小さな作品(小品)の集まりで学びやすい
- 調・拍子の種類が多く、バランスよく学べる
- 弱起の練習ができる
1. 小品の集まりで学びやすい
1から2ページくらいの小さな作品が収録されています。
全25曲のうち1ページが14曲、残り11曲は2ページにおさまる長さです。
短い曲が多いため初心者にとって学びやすいですね。
短さの中に音楽的な語りや情景・感情の変化などが詰まっているので、他のエチュード集にないくらい上達のためのエッセンスがギュッと凝縮されていると言ってもいいでしょう。
2. 調・拍子の種類が多く、バランスよく学べる
調や拍子の視点から、さまざまタイプの曲が揃っているため、表現力を支えるためのテクニックがバランスよく身につけられるようになっています。
調性
全25曲中、長調が19曲、短調が6曲含まれます。
シャープ(#)系が8曲、フラット(♭)系が8曲、調合のついていない曲が9曲とバランスがよいです。
可愛らしい曲、明るい曲、悲しげな曲など、幅広く盛りだくさんに組み込まれていて価値のある教本だと思います。
さらに、短い曲であっても半数の12曲に転調が使われていて、音の流れが美しく感じられます。
拍子
4/4拍子、3/4拍子、2/4拍子など4分音符を1拍とする曲が全25曲中18曲。
3/8拍子、6/8拍子など8分音符(♪)を1拍とする曲が残りの7曲です。
4分音符を1拍とする曲はシンプルなので馴染みがある反面、8分音符を1拍とする曲は、拍子の数え方が難しいと感じる学習者も少なくありません。
ブルグミュラーは、収録曲の3割近くが8分音符を1拍と数える曲なので、拍子の数え方をしっかりと学習することができます。
この割合は他のエチュード集と比べてみても多く、バイエルは1割強、ツェルニー30番は2割弱という数字です。
3. 弱起の練習ができる
弱起とは、フレーズが小節の最初からではなく、その前の小節の途中から始まっていることを指します。
楽曲の始まりがそうであったり、曲の途中に弱起が組み込まれていたりすることもあります。
ブルグミュラーでは全25曲中5曲に弱起が使われているので、弱起特有の呼吸のとり方や拍感覚を学んでいけます。
ブルグミュラーの練習で意識すること6つ
引用:Amazon
ブルグミュラーではタイトルからイメージを膨らませて音作りをしていくことはすでにお伝えしました。
ブルグミュラーを美しく弾きこなすため、特徴を踏まえた上で練習をしながら意識してほしいことをまとめますね。
- フレーズを読み取って呼吸に気をつける
- 強弱をしっかり意識する
- 旋律を心で歌うことに気を配る
- 表示のテンポよりゆっくりめでOK
- ペダルは一通り弾けるようになってから入れる
- 知らない音楽用語は自分で調べる
1. フレーズを読み取って呼吸に気をつける
4小節フレーズごとでの構成が見られます。
フレーズを意識して捉えることで曲の完成度が上がっていくでしょう。
2. 強弱をしっかり意識する
強弱をつけることは音楽表現の基本です。
強弱記号をしっかり確認し、聴き手に伝わるように強弱をつけてみましょう。
3. 旋律を心で歌うことに気を配る
一つ一つの曲の旋律が美しいブルグミュラー。
まちがえずに弾きこなすテクニック練習も大切ですが、音楽を表現することの楽しさこそが基本です。
美しい旋律を心で歌うことで曲に表情をつけましょう。
4. 表示のテンポよりゆっくりめでOK
Allegro(速く)やAllgretto(やや速く)など速度を求められる曲が多いです。
指をすばやく動かすテクニックも大切ですが、スラーの滑らかさなど表現豊かに演奏することを心がけましょう。
5. ペダルは一通り弾けるようになってから入れる
はじめからペダルを入れたら指が疎かになってしまいます。
一通り弾けるようになったらペダルを入れて、曲を完成させていきましょう。
「天使の合唱」「アヴェ・マリア」はペダルを効果的に使える楽曲なので、ぜひペダルを入れてみてください。
その際、「アヴェ・マリア」のほうが高いペダル技術が求められるので、「天使の合唱」を練習してからのほうがおススメです。
6. 知らない音楽用語は自分で調べる
バイエルに比べて作曲者の意図や表現の考え方など、演奏の手がかりになる音楽記号が多く表記されています。
分からないまま弾いていては、独りよがりな演奏になってしまいます。
作曲者の意図を汲み取った奥深い演奏を目指しましょう。
ブルグミュラー25のレベルや学べること♪まとめ
ピアノを練習していく上で教本の取捨選択はつきものです。
ですが、初級者がブルグミュラーを使用するメリットはたくさんあることに気付かれたことと思います。
- 小さな作品(小品)の集まりで学びやすい
- 調・拍子の種類が多く、バランスよく学べる
- 弱起の練習ができる
ブルグミュラー25の練習曲は魅力ある曲が詰まっているので、丁寧に仕上げたいと思わせてくれる本当に素敵な教材です。
読者様のピアノライフにいろどりを与えてくれるものだと信じています。
ぜひ練習にとり入れてみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。