前回の記事では、アップライトピアノの寿命とメンテナンス方法についてお話しました。
ピアノの寿命って何年?劣化の原因と対策!【アップライトピアノ編】
でも、大人になってピアノを始めた初心者の方だと、いきなりアコースティックピアノ(グランドピアノやアップライトピアノ)の購入に踏み切ることはなかなかないですよね。
続くかどうかわからないのに高価なものは買えない、とか。
マンションだし騒音が心配、とか。
ヘッドフォンを使っての練習がOKという機能面に加え、費用面でも魅力的な電子ピアノを使用されている読者様も多いと思います。
そこで、今回お伝えしたい内容は以下の通りです。
- 電子ピアノの寿命は一般的にどのくらいか
- 劣化の原因とメンテナンス法について
- 修理は可能なのか
気を付けたい使い方や修理の話は、電子ピアノを弾くなら知っておいて損はありませんよ♪
電子ピアノの寿命はどのくらい?
電子ピアノの寿命に関しても、2通りの考え方があります。
- 本体の限界年数
- 演奏者が満足して弾ける年数
一般的に、電子ピアノの寿命はおよそ10年〜20年と言われています。
アップライトピアノに比べたら3分の1くらいでしょうか。
そう言われるとちょっと短く感じるかもしれませんが、この数字には根拠があるんです!
それは、部品の取り替えられる期間が決まっているから。
電子ピアノは数年ごとに新しいモデルが作られており、本体が生産されてから約10年後には部品が出回らなくなることがほとんどです。
そのため、購入後数年であればできた修理も、10年以上経つとできなくなる可能性が高いんです。
部品が製造されなくなり修理困難となった時期が、本体寿命と言えるわけですね。
では、演奏者の満足度についてはどうでしょう。
ピアノは日頃の練習によってだんだん上達し、成長を感じられる魅力的な楽器です。
演奏レベルが上がってくると、微妙な音色のニュアンスやタッチの変化をつけられるようになってきたりしますよね。
例えば、グランドピアノで演奏される曲は、プロではない私にもとても表現豊かな演奏に聴こえます。
演奏者のスキルに加えて、グランドピアノが持つ音の良さや音量の幅広さが、曲に豊かな色をつけてくれているのだと感じています。
そのため、ピアノを弾く方の中には、電子ピアノでは思うように表現できない!と考える方もいるようです。
もちろん、電子ピアノだと良い演奏ができないということでは全くありません。
音を聴き分ける演奏者の耳が肥え、ピアノスキルが上達したことによって、もっと細かな表現をつけて弾きたいという余裕ができた証拠だと思います。
このように演奏に物足りなさを感じた時が、演奏者の満足度による電子ピアノの寿命です。
とは言え、自宅練習用には電子ピアノが良いし・・・というジレンマに陥ってしまうことも考えられます。
電子ピアノにも様々なタイプがありますので、アコースティックピアノにより近い表現が可能なワンランク上の電子ピアノを試してみるのもオススメですよ!
選ぶときのポイントについては、別の機会にまた詳しくお伝えしますね♪
あなたの電子ピアノは大丈夫?劣化の原因と対策
電子ピアノはその名の通り電子機器です。
テレビ・洗濯機・冷蔵庫のような家電と同じと考えてくださいね。
えっ! 家電・・・?
そうです、生活家電の仲間なんです。
家電で困ることと言えばアレですよね、予期せずいきなり使えなくなるプッツン現象。
急いでる時や修理の連絡ができない夜に限って動かなくなるし、昨日まで大丈夫だったのにどうしていきなり!・・・って、愚痴が止まらなくなるのでやめておきますね(笑)
家電の故障の原因として一番起こりやすいのが、精密機械である電子部品の不具合です。
電子ピアノを扱う上では、この電子部品に負荷を与えないよう注意を払うことが大切になってきます。
特に気を付けたい2つのポイントをみていきましょう!
〜いきなりプッツンの原因 1〜 高温多湿には要注意
- 電子ピアノに適した環境は、温度変化が少なく年間を通して湿度50〜60%程度
- 直射日光や暖房の直撃、結露に気を付ける
アップライトピアノほど神経質になる必要はありませんが、電子ピアノも温度と湿度には影響を受けてしまいます。
鍵盤が木製のものなどは、温度変化が激しくて結露が起きると水滴がカビの原因となることも。
さらに、電子部品は熱に弱いという特徴を持っています。
直射日光の当たるところや暖房の近くに電子ピアノを置くと、内部の温度が上がって部品が変形し、故障につながる可能性があるんです。
電子ピアノは、だいたい5℃〜40℃くらいの温度では問題なく稼働すると言われており、適した湿度は年間を通して50〜60%程度です。
気温が高くなりやすい場所は避けて、除湿機やエアコンの除湿機能をうまく使うと、環境による劣化を防ぐことができそうですね。
〜いきなりプッツンの原因 2〜 扱い方に要注意
電子機器全般に言えることですが、乱暴に扱わないようにしましょう!
電子ピアノの鍵盤には、アコースティックピアノと同じくフェルトが使用されています。
優しく扱わないとフェルトの劣化を加速させ、鍵盤が沈んだままになったりする恐れがあります。
鍵盤・ペダル・ヘッドホンを繋ぐプラグ等も、使用するうちにどうしても劣化していくのは避けられません。
乱暴に扱うことで劣化スピードを加速させ早期に接続不良を起こしたりしないよう、愛着を持って大切に使いたいですね。
修理のポイントと費用
電子ピアノは購入時に保証がついています。
家電と同じなので、ここは頷いていただけると思います。
保証期間内で条件を満たしていればメーカーが対応してくれますが、保証期間を過ぎている場合はピアノ修理業者にお願いするべきです。
故障したら修理はできる?
さあ、ピアノを弾こう!と思ったら・・・あれ?音が出ない・・・
ある日突然、誰にでも起こり得る悲しい瞬間です。
まずは生じた不具合が修理可能なのかどうか気になりますよね!
プロにしっかり見てもらうことを前提として、ここでは故障例と修理費用の目安をお話しします。
【パーツの交換で良くなることが多い例】
- ペダルがきかない
- コードを差しても音が出ない
【修理によって良くなることが多い例】
- 電源が入らない
- 鍵盤の戻りが悪い
- 音が出ない
原因にもよりますが、上記のような不具合はパーツの交換や修理で元の状態に戻せる可能性があります。
アップライトピアノと同様に、電子ピアノも部品の取り換えや修理で本体の寿命を延ばすことは可能です。
ただし、気を付けなければいけないのは生産されてからの年数がどのくらい経っているか、ということ。
冒頭でも触れましたが、電子ピアノを買ってからの年数が浅ければ、部品はまだ出回っているので修理可能となります。
でも、電化製品は日々進化しているので、読者様の電子ピアノに使われている部品がいつまでもあるとは限りません。
「この部品はもう廃盤になっていて・・・」
修理の際に言われるとガッカリしてしまうフレーズですよね。
電子ピアノは数年でモデルチェンジを繰り返し、本体の生産が終了してもおよそ6〜8年は部品が手に入るというサイクルになっています。
そのため、購入してからおよそ10年は修理が可能、それ以降だと部品がなくて修理が難しいということになります。
費用はどのくらい?
修理ができるとなった場合、だいたいどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
【電子ピアノ修理費用相場】
電源が入らない | 約9,000円〜15,000円 |
---|---|
音が出ない | 約20,000円〜25,000円 |
鍵盤の交換(1つあたり) | 約10,000円〜15,000円 |
カチカチと鍵盤から音が鳴る | 約10,000円〜25,000円 |
ペダルに音が連動しない | 約10,000円〜20,000円 |
鍵盤の動きが悪い | 約10,000円〜25,000円 |
修理費用は本体の状態にもよりますし、業者によってまちまちなもの。
電子ピアノの不調を感じたら、まずは複数業者に連絡して見積もりをお願いしてみましょう。
電子ピアノの寿命を延ばすためにできること
ここまで、電子ピアノの劣化を進める原因や修理についてお話ししてきました。
「少しでも良い状態で弾き続けるために、自分でケアできないのかしら?」
そう思われた読者様のために、毎日使いながら簡単にできるお手入れ方法をご紹介しますね!
- カバーをかける
- ほこりを拭く
- 上に物を置かない
こんなの当たりまえ!と思うようなことですが、意外とできていないことが多いんです。
読者様も思い当たる節があるんじゃないでしょうか・・・?
カバーをかける
電子ピアノを使わない時にカバーをかけておくと、ホコリが溜まるのと、傷がつくことを防げます。
蓋と本体の隙間から小さな紙やコイン、動物の毛などが入り込んで故障したという例も。
そのせいで修理代に数万円かかるのは悲しいですよね。
小さなお子さんやペットがいるご家庭は、意識的にカバーをかけることで電子ピアノをしっかりガードしておきましょう。
汚れやホコリを拭く
ちょっと汚れが気になるな、と感じた時はピアノ専用のクロスや柔らかい布で優しく拭くのがオススメです。
見える範囲に溜まったホコリは見栄えも悪いですし、ピアノの内部に入ってしまうと掃除か難しく、故障の原因にもなりかねません。
汚れた指でピアノを弾くことはないと思いますが、素手で多く触れる鍵盤は特に皮脂や汗がつきやすい場所です。
時間が経つと落ちにくくなるので、弾いた後はできるだけ拭くようにするとキレイに保てます。
上に物を置かない
ついついピアノの上に物を置いてしまうことありませんか?
私はよくあります!
弾き終わって満足したテキストや郵便物をポンって置いたままそれが増えていったり・・・って私だけですか?(笑)
ピアノのテキストを重ねて置いたりしがちですが、本はまとまると結構な重さに。
本体の歪みや音の変化にもつながる可能性があるので、ピアノの上は何もない状態がベストだと心得ておきましょう。
電子ピアノと一緒に楽しいピアノライフを
アコースティックピアノよりも手軽に購入できる電子ピアノですが、気軽に買い換えられるようなものではありません。
- ピアノが置かれている環境(温度・湿度)に注意する
- 電子機器なので乱暴に扱わない
- 保障期間外でも部品があれば修理は可能
- 毎日のちょっとしたお手入れで劣化の原因を作らない
電子ピアノの寿命が10年程度と聞いてどう感じるかは人それぞれです。
ただ一つ言えるのは、10年の年月があれば、鍵盤に触れたことがなく楽譜が読めなかった人でもピアノが思うように弾けるようになれるということ。
たくさんの素敵な曲を奏でる相棒である電子ピアノ、できるだけ大切に使っていきたいですよね!
今回ご紹介した内容が、少しでも読者様のお役に立てたら嬉しいです。
電子ピアノを購入したばかりという方、ピアノを始めたばかりという方も、これからのピアノライフを存分に楽しめるよう願っています♪
最後までお読みいただきありがとうございました。
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