世界には多くのピアノのブランドが存在しますが、実際知っているのは指折り数えるほど。
読者様はピアノと聞いて、どのブランドを思いつきますか?
日本人の感覚だと、ピアノと言えば「YAMAHA」、「KAWAI」ですが、他にもたくさんのピアノブランドがあります。
そこで今回はピアノの知識を深掘りしてみる!というテーマで有名なピアノブランドから、国産のあまり知られていないピアノなど、少しでも多くのピアノブランドをご紹介できればと思います!
・日本の二大ピアノブランドについて
・他にもたくさん!注目のブランド10選
今回はこちらについてご紹介していきたいと思います。
世界じゅうで愛されるピアノを知ることで、読者様のピアノ知識が深まり、縁あって相棒となるピアノに出会えるお手伝いができればと思います。
世界三大ピアノブランドとは?
読者様は「世界三大ピアノ」をご存知でしょうか?
そもそも三大ピアノとは何を指して三大ピアノとなるのか疑問ですよね。
実は三大ピアノには、そう位置づけられる所以があります。
- 技術者の歴史や音楽史においての歴史的観点と由緒
- 過去から現在に至るまで、名だたる音楽家たちからの圧倒的な信頼と評価の獲得
このポイントを満たしている点が、最高峰のブランドとして「世界三大ピアノ」と言われています。
では、三大ピアノを一つずつ詳しく見ていきましょう!
STEINWAY&SONS(スタンウェイ&サンズ)
世界の有名ピアニストに愛され、また多くのコンサートホールで使用されているピアノです。
- 濁りのないクリアな音色
- ピアニストの指の動きがそのまま音色へ伝わる
- フルコンサートグランドピアノ(D-274)はピアノ最高峰
スタンウェイは多くの一流ピアニストに弾かれている世界一のピアノブランドといっていいでしょう。
高音は繊細に、低音は力強く、特にpp (ピアニッシモ)は艶のある音色です。
ここまで一流ピアニストに愛される理由。
それはタッチが軽く、鍵盤を叩く力がそのまま伝わる構造になっているので、ピアニストの表現が直に伝わることも愛される要因となっています。
現在はドイツとアメリカに生産拠点がありますが、同じスタンウェイでも構造や材料にやや違いがあるようです・・・。
そのためそれぞれのピアノのことを、
- ドイツ「ハンブルグ・スタンウェイ」
- アメリカ「ニューヨーク・スタンウェイ」
と名称を区別していますが、どちらもスタンウェイの濁りのない音色が特徴です。
Bösendorfer(ベーゼンドルファー)
世界各国の王室や皇室で愛用されるほどの由緒正しいピアノブランドです。
- オーケストラを彷彿させる響き「ウィンナー・トーン」が特徴
- pp(ピアニッシモ)はピアノがささやくような音色のため「至福のピアニッシモ」と言われる
- コンサート用グランドピアノとして97鍵、8オクターブの「インペリアル・グランド」でも有名
- ベートーヴェン国際ピアノコンクールでは、使用されるピアノはベーゼンドルファーに限定される
こちらは音楽の都で知られるオーストリアのピアノブランドです。
創業当時から手造りにこだわって生産されてきました。
現在は日本の「YAMAHA」の子会社となっています。
YAMAHA、すごいですね・・・。
C.BECHSTEIN(ベヒシュタイン)
音の透明感からドビュッシーやリストに絶賛され愛されたピアノ、ベヒシュタイン。
- みずみずしいほどの音の透明感や響きの強さが特徴
- 輪郭のはっきりした音であるため旋律、対旋律、伴奏、ベースなど各パートに分離して演奏が可能
- 三大ピアノ唯一アップライトピアノにも力を入れている
- ピアノのストラディバリウスと言われるほどの名器
こちらは1853年にカール・ベヒシュタインが創業したドイツのブランドです。
クラシックだけではなく色々なジャンルの音楽にも柔軟に対応できるような音色も特徴です。
弾き手のタッチがそのままあらわれるため表現がしやすく、演奏者の個性を最大限に引き出してくれるピアノです。
日本の二大ピアノメーカーについて
さすがに有名なメーカーなので読者様ならご存じだと思います。
「YAMAHA」と「KAWAI」。
それぞれピアノ教室もやっていて、テレビのCMでは小さな子どもたちがピアノに合わせて歌っているのは有名ですよね。
多くのご家庭にあるピアノといえばこのどちらかではないのかなぁと思いますが、詳しくご紹介していきますね。
YAMAHA(ヤマハ)
日本人ならみんなが知ってる「YAMAHA」は1897年に山葉寅楠(やまはとらくす)によって創業され、現在世界最大の総合楽器メーカーです。
- 世界のピアノシェア第1位
- 比較的元気のいい明るい音色が特徴
- 大量生産でも高品質で、クリアな音色に歯切れのよい響きでタッチも軽め
- フルコン(CF3)は世界中で行われる主要なコンクールで公式のピアノとして認められており、ピアニストからも高評価
YAMAHAのピアノは家庭用から教育現場、コンサートホールなど多岐に渡って愛されるブランドです。
2007年には三大ピアノブランドのひとつ「ベーゼンドルファー」を傘下にし、ますますピアノ業界を盛り上げているところです。
その他、私たちの身近なところで「YAMAHA」と言えばバイクなども想像しますが、元々バイクや自動車関連事業にはピアノの木工加工や塗装技術を生かして展開されました。
KAWAI(カワイ)
YAMAHA(当時は日本楽器製造)に勤めていた河合小市が独立し、1927年に創業した世界の人気ピアノブランド第4位に位置する日本のブランドです。
- 世界のピアノシェア第2位
- しっとりとした深みのある音色でタッチはYAMAHAに比べるとやや重め
- フルコン「EX」はショパンコンクールの公式ピアノとして使用
- 優しい音色だが低音部は太くどっしりとした重厚な響きが特徴的
- X JAPANのYOSHIKIさんが使わているクリスタル製のピアノはKAWAI製
KAWAIもYAMAHA同様、家庭用から教育現場、コンサートホールなど多岐に渡り使用されている一流ブランドです。
現在ではスタインウェイの第2ブランド(ボストンピアノ)のOEM生産もしています。
音楽番組やテレビのCMでも見かけたことがある読者様もいるかとは思いますがX JAPNのYOSHIKIさんが演奏に使用しているピアノはKAWAI製です。
「自分の身体の一部といっても過言ではないほどの長い付き合い」とおっしゃっています。
唯一無二の存在とも。
また、YOSHIKIさんのツアー活動もKAWAIがサポートしているほど信頼関係が築かれています。
最近ではマッチョなピアニストでも人気のユーチューバーのフォルテさんが期間限定でKAWAIからレンタルしていたKAWAI最高峰のグランドピアノ「Shigeru Kawai」も有名です。
他にもたくさん!注目のブランド10選
ここまでご紹介したピアノは有名どころなので、多くの読者様がどれかは聞いたことのあるブランドだったのではないかと思いますが、他にもブランドがたくさんあります。
ちょっとマニアックなブランドから、実は誰もが聞いたことのある曲を演奏していたピアノがこれだった!など深掘りしていきます。
東洋ピアノ
こちらは戦後に創業された比較的新しい国産メーカーでヤマハ、カワイについで国内で3番目の大手メーカー。
国内でグランドピアノを製造できるメーカーの一つで有名です。
やはり大手に比べると規模は小さくなりますが、手作りにこだわっています。
東洋ピアノのなかでもアップライトピアノに力を注いでおり、そのブランド名が「アポロピアノ」と言います。
「世界で最もグランドピアノに近いアップライトピアノ」
と言われています、とても気になるフレーズです!
社名はあまり聞いたことがないかもしれませんが、最近ではあの「サンリオ社」と提携して『ハローキティ』、『マイメロディ』などのキャラクターピアノの生産で注目されています。
残念ながら2020年6月現在、生産や受注を見合わせているものや、生産終了しているものばかりです。
すでにご紹介した「スタンウェイ」の東海地区正規代理店も務めています。
スタンウェイの販売、調整も請け負っているとなると、技術も実績もありますね!
大成ピアノ
こちらは残念ながら現存しないピアノブランドですが、かつてはピアノの産地で有名な静岡県浜松市にありました。
一時期は販売数もそれなりにあったので、もしかしたら中古ピアノ市場には出回っている可能性も無きにしもあらず。
見つけたらラッキーかもしれません!
なによりこの大成ピアノ、謎に包まれている部分が多く社名も色々あったとか。
かつては大手「カワイ」の特注ピアノの製造を請け負っていたとのことで、確かな技術があったということがわかります。
ボストン
こちらはあの「世界三大ピアノブランド」のひとつ、「スタンウェイ」の第2ブランドとして作られたもので、汎用品として生産されています。
ブランドとしては外国ですが、KAWAIで製造されています。
スタンウェイの第2ブランドですが低価格で手の届くものを普及させることが目的のピアノ。
しかし、響板面積を広くとった設計でピアノのサイズよりも一回り大きい響きのピアノです。
ボストンはすべて木製のピアノで音色も魅力的なため、欧米でもとても人気のブランドのひとつになっています。
私も実物を見たことがありますがピアノ特有のピカピカした漆黒の光沢がなく、木の感覚を残してあるマッド加工のものでとても魅力的な色合いをしていました。
ディアパソン
ディアパソンはカワイのなかの1つのブランドとして生まれました。
人生をピアノに捧げた大橋幡岩(おおはしはたいわ)氏がドイツブランドの「ベヒシュタイン」のピアノをモデルにして設計、製作したものです。
ブランド名の「ディアパソン」ですが、これはフランス語で「純粋な音」という意味です。
特徴は、国産ピアノならではのしっかりとした音の響きと、ヨーロッパのピアノが醸す豊かな音色を兼ね添えた唯一無二のピアノです。
大橋氏がデザインしたピアノは生産台数が少なかったため、現在では希少価値の高いピアノとなっています。
もし見つけられたらぜひ音色を聞いてみたいものですね!
大橋ピアノ
大橋ピアノは先にご紹介した「ディアパソン」などを製作した大橋氏が別に立ち上げたブランドです。
独立して設立したのは、大橋氏自身が思い描いたものを作って実現させたいという気持ちから作られたブランドでしたが、残念ながら現在はすでに廃業されています。
ピアノには天然素材を使用しており、すべて職人による手作業で作られています。
「和製ベヒシュタイン」なんて言われることも。
すでに廃業されているため製作された台数も少なく、アップライトピアノですら5000台もありません。
グランドピアノに至っては50台ほどしかないとのことです。
もはや幻のピアノとなっています。
何かの縁で中古品を楽器店で発見した時、それはもう運命かもしれません。
ペトロフ
こちらは音楽の国といわれているチェコでうまれた老舗のピアノブランドです。
特徴はなんといってもデザイン。
北欧調のインテリアに似合うとてもオシャレな外装が魅力のひとつです。
見た目だけではなく音色もタッチも素晴らしく、文句のつけどころがないピアノにもかかわらず、リーズナブルなお値段!
ヨーロピアンなお家も、楽器ととらわれずインテリアとしても引き立てるペトロフのピアノは、現在日本でも注目されている人気急上昇中のブランドです!
ザイラー
こちらはドイツのメーカー。
音色は透明感があり明るいのが特徴です。
ザイラーは木材の微々たる密度の差も許すことなくタッチの追求をしたり、さまざまな環境の変化も受けないような音響性能を実現するなどの技術革新を詰め込んだピアノを製作し特許を取得しています。
シンメル
ドイツ国内最大手のピアノメーカーで、日本で言うところの「YAMAHA」といったところでしょうか?
それは、多くの人に使えるよう汎用性を追求し、ピアノの種類を充実させました。
そして汎用性を追求しただけではなく、上質な音色や上品でおしゃれなデザインであることも注目すべき点です。
またピアノの製作技術も高い水準にありアップライトピアノの小型化や、ユニークなデザインのピアノも製作するピアノメーカーです。
ボールドウィン
アメリカのピアノブランド「ボールドウィン」。
元々は音楽の先生をしていたボールドウィンが起業したピアノの会社です。
最初の頃はピアノの製造ではなく販売特約店でしたがその後製作もするようになりました。
とても表現力が豊かな音質で弾きやすいことが特徴のボールドウィン。
アメリカの音楽にはなくてはならないもので、音楽史を支えてきました。
そしてボールドウィンの作り上げたピアノはアメリカのクラシック、ジャズ、ポップミュージックのジャンルで活躍しています。
ブリュートナー
ドイツ発祥のブランドで、「世界四大ピアノ」と言われるときに三大ピアノと名を連ねるほどのブランドです。
数多くの博覧会で受賞するほどの逸品で、作曲家「ドビュッシー」が作曲する時に使用していたことでとても有名です。
愛用している皇室も多く、イギリス・ドイツ・オーストリア・デンマーク・ギリシャに納品されています。
そしてあの有名な「ビートルズ」。
ビートルズの多くの曲の中でも名曲とされる「Let It Be」。
ポールマッカートニーがこの曲の中で演奏していたのはなんとこの「ブリュートナー」です。
引用:YouTube
最後の最後、引きの画面でしっかりと「ブリュートナー」の文字がピアノの側面にありますね!
これからこの曲を聴いたとき「ブリュートナーだ!」とちょっと鼻高々な気分になりますね。
大人の特権!自分好みのピアノを見つけよう
ここまで世界のピアノブランド、日本のブランドと多くのブランドをご紹介してきました。
こんなブランドあったの?と思うほどたくさんのブランドが世界中にあります。
日本では多くの方が「YAMAHA」や「KAWAI」といった馴染みのあるブランドに幼いころからしらずしらずのうちに触れていましたが、今回たくさんのピアノをご紹介することで視野が広がったのではないかなと思います。
憧れの世界三大ピアノはきっと実際に触れると素敵なものだと誰しも感じると思いますが、そう簡単に弾ける環境にありません。
それに人それぞれいいと思うものは違っています。
音色の好みやタッチの軽さ、本体のデザインなど、子供の時にはさほど気にもしなかったことを大人になったからこそ選択肢としていれていくのは特権だと思います。
新品でも、中古でもいいんです。
読者様にとってこれからのピアノ人生、素敵な相棒と出会えるともまたピアノと向き合う楽しさに繋がります。
今回の記事が相棒探しのお役に少しでも立てていれば幸いです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。