誰もが馴染みのある楽器、それがピアノです。
子どもの時は保育園や幼稚園で毎日先生が弾いてくれて、それに合わせて片付けたり、給食のお歌を歌ったものです。
そんな「ピアノ」、歴史はきっと長く昔から多くの人に愛された楽器なんだろうなぁ~、なんて思ってらっしゃる読者様もきっと多いはず。
実は思っているより歴史は浅いんです!
そんなピアノにはピアノの前身となる楽器があるのをご存知でしょうか?
大人が始めるピアノ。
まずはその歴史に触れてみませんか?
今回は、以下のことについてお伝えします。
- ピアノの前身となるご先祖さまは11世紀にさかのぼる?!ルーツを知ろう!
- ピアノの前身を作った製作者「バルトロメオ・クリストフォリ」について
- 音楽の父「バッハ」はピアノの時代じゃなかった!?
- ピアノの歴史を知ってさらにピアノを楽しもう!
ピアノの前身となるご先祖さまは11世紀にさかのぼる?!ルーツを知ろう!
ピアノの前身となる楽器の歴史は古く、11世紀にまでさかのぼります。
現在のピアノに至るまでに何度も改良され、ようやく300年以上前に今の形に近づきました。
そんなピアノのルーツを追っていきたいと思います。
ダルシマー
11世紀に中近東のツィター族の打弦楽器でヨーローッパヘ伝わりました。
構造は共鳴箱というものの上に弦が張ってあるだけのシンプルなもので、その弦を小さな槌で叩いて音を出す仕組みです。
ピアノも同じく弦を響かせて音を出す仕組みの楽器なので、ダルシマーのように槌で弦を叩いて音を出す点で、ピアノの最も古いご先祖さまではないかと言われています。
引用:dulcimerの部屋
クラヴィコード
クラヴィコードは13世紀頃にできたと言われているルネサンス期の楽器です。
上流階級の間で広く普及した楽器です。
特徴をご紹介します。
- 外観は長方形で4本の脚があるものと、脚がなく直接テーブルに置く2タイプ
- 音域は3~5オクターブ
このクラヴィコード最大の特徴が「打弦法」で、鍵盤を押すと鍵盤の奥につけられた真鍮製のタンジェントという棒が弦を突き上げることで音を出す仕組みになっています。
鍵盤を押す力である程度の音の強弱が得られ、鍵盤を押したまま動かすことでビブラートも出せますがここで弱点がひとつ。
音量がとても小さいのです。
そばにいる数人にしか聞こえないほどでした。
でも音色は繊細でとても美しいもので、多くの作曲家たちを虜にしました。
引用:Wikipedia
チェンバロ(ハープシコード)
チェンバロという楽器、名前は知ってる方も多いのではないでしょうか?
14世紀頃に誕生したと言われ、ヨーロッパ各地に広まりました。
その後バロック時代にとても活躍した鍵盤楽器です。
バロック音楽を代表する楽器。
イタリア語で「クラヴィチェンバロ」国によって呼び方が違います。
- ハープシコード
- キールフリューゲル
- クラブサン
など呼び方は色々。
音を出す構造は鍵盤を押すと奥のジャックという柱が上がり、それに取り付けられたプレクトラムという爪が弦をはじいて音を出します。
爪は皮革、羽根軸などで作られています。
現在ではポリアセタール樹脂などが使われるのが一般的です。
そしてこのプレクトラムという爪、その材質によって音質が変わるんです!
同じ楽器なのに音色に違いがあるなんて素敵ですね!
ピアノはハンマーが鍵盤をたたく・・・打楽器
チェンバロは弦を爪が弾く・・・弦楽器
形は似ていても全く音の出し方は違います。
大きさはクラヴィコードより大型で豪華。
音の特徴は鋭く華麗。
音量はクラヴィコードより大きいですが、逆に音の強弱はあまり得られません。
音域は一般的に4~5オクターブ。
このチェンバロ、現在でも製造されています。
歴史的観点からみると、このチェンバロという楽器の形が私たちの知っている今日の「グランドピアノ」へと繋がっています。
引用:Wikipedia
ピアノフォルテ
いよいよ私たちの知っているピアノへ近づいてきました。
1709年、イタリアのチェンバロ製作者であるバルトロメオ・クリストフォリによって発明されました。
このクリストフォリについては後ほど詳しくご紹介しますね。
彼はこの楽器を「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」と名付けました。
これはイタリア語で「弱音も強音も出せるチェンバロ」という意味です。
現在はこの名称を短くつめて「ピアノ」と呼ばれています。
- ハンマーで弦を打つことで音ができ、仕組みは現在のものと同じ。
- 見た目も現在のグランドピアノと同じ。
- 音域は5~5オクターブ半。
- ハイドンやモーツァルトはこの音域で音楽を創った。
その後、19世紀にはいると「ピアノ」という音楽のジャンルの発展により、高性能なものが求められるようになりました。
その結果、音域は7オクターブへと広がりました。
この音域の恩恵を受けたのがこのこの有名な作曲家たち。
- ベートーヴェン
- シューベルト
- メンデルスゾーン
- ショパン
- シューマン
- リスト
ビックリ、なかなかのメンツ揃い!!
また、現在では幼稚園や小学校で使われ、読者様もお持ちかもしれませんが「アップライトピアノ」も現在のものとほぼ同じものが発案されました。
その後実用性が認められることで、一般の家庭へと普及していきます。
引用:宗次ホール
ピアノの前身を作った製作者「バルトロメオ・クリストフォリ」について
ピアノの前身となる「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」、先ほどご紹介した「ピアノフォルテ」を製作したのがイタリアの楽器製作家バルトロメオ・クリストフォリです。
当時の貴族たちは自分のために楽器を作らせることが多く、クリストフォリもその一人としてあの有名なメディチ家の王子に仕えました。
チェンバロの音の強弱に乏しい点に不満を抱いていた王子が依頼し、現在のピアノの原型となる「ピアノフォルテ」を創り出しました。
クリストフォリが何台ピアノを製作したのかはわかっていませんが現在、クリストフォリの製作した楽器で現存するものは10台あります。
うち、ピアノは3台残っています。
- 1720年製作・・・メトロポリタン美術館(ニューヨーク)
- 1722年製作・・・イタリア国立楽器博物館(ローマ)
- 1726年製作・・・ライプツィヒ大学楽器博物館(ドイツ)
いつか実物を見てみたいなと思っています!
世の中にピアニストがいるように、現在でもピアノフォルテ奏者という方いらっしゃいます。
実際にどんな音が奏でられるのか聴いてみるのもいいですね。
音楽の父「バッハ」はピアノの時代じゃなかった!?
音楽の授業では必ず聞く言葉「音楽の父バッハ」。
バッハと言えば読者様もよくご存じの曲や、タイトルでピンとくる方も多いかと思います。
- G線上のアリア
- 主よ人の望みよ喜びよ
- 小フーガト短調
- メヌエット
- 平均律クラヴィーア曲集
などなど、他にも多くのバイオリンのための曲や教会で流れる曲を多く世に送り出し、よく耳にすることも多いのではないでしょうか。
しかし、ここで衝撃の事実です。
バッハ、この方生涯一度たりともピアノの曲を書いたことはありません!!
「え?ピアノの曲でしょ」
そう思っても仕方ありません、なんせ音楽の父ですから。
実はピアノはバッハの時代はまだ出はじめたばかりの楽器でした。
バッハが活躍した時代は、チェンバロやオルガンといった鍵盤楽器が主流でした。
そう言われると「主よ人の望みよ喜びよ」や「小フーガト短調」はオルガンの音色ですよね。
引用:YouTube
バッハがピアノを始めて試奏したのは50歳頃。
でも、ピアノの音はあまりお気に召さなかったそうです。
当然、その後もピアノを弾くことはほとんどありませんでした。
ハイドンはバッハと違い、途中でピアノへ切り替えています。
神童と呼ばれたモーツァルトは初めからピアノで育ち、弾いています。
ピアノの前身にあたるチェンバロに魅せられ、その魅力を最大に引き出したバッハ。
彼の功績はとても大きいですね。
こちらの記事ではバッハとピアノの発展の関係やピアノの歴史について説明していますので、ぜひ見てみてください♪
ピアノの歴史を知ってさらにピアノを楽しもう!!
ここまでピアノの前身についてご紹介してきました。
初耳の楽器もあった読者様もきっといらっしゃったと思います。
子どもの時、ピアノを習うからって、さすがにここまでのピアノの背景に迫ることはないです。
私もそこから始まっていたらもっと早くに離脱していたと思います。
でも歳を重ねた今だからこそ、歴史的背景からピアノに触れることはとても素敵なことだと思います。
そんな前身となったピアノフォルテやチェンバロは「浜松市楽器博物館」に展示されています。
ここでは実際に見て触ることもできます。
百聞は一見に如かず。
気になる方はぜひ訪れてみるのもいいですね。
ピアノの前身となる楽器や、バッハがピアノをお気に召さなかったことなど、作曲家たちの裏話を知っていることで読者様とピアノ仲間との会話の幅が広がって盛り上がっちゃうかもしれませんね!
たくさんの歳月と製作者たちの英知を重ねて完成したピアノ。
ピアノの歴史を知って感じたことを次は読者様だけの音色に重ねて素敵な音楽をぜひ奏でてください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。