突然ですが、読者様はピアノが脳の活性化に効果的であることをご存知でしょうか?
ピアノの脳トレ効果って?脳の活性化ならピアノを今すぐ始めよう!で詳しくご紹介していますが、ピアノを弾くことは脳のトレーニングになります。
ですが、ピアノは脳トレに効果的なだけでなく、実際に脳に変化を与えます。
そこで、本記事では以下の内容についてお話します。
- ピアノによって変化する脳の部位はどこか?
- 脳の部位を変化させるピアノ練習方法は?
ピアノの脳に対する具体的な効果とその練習方法を知って、ピアノ上達へのモチベーションにしましょう♪
ピアノで変化する脳の部位はどこ??
まずは、ピアノの練習によって変化する脳の部位をご紹介します。
脳科学者の澤口俊之先生によると、ピアノが良い変化を与える脳の部位は以下の3つです。
- 脳梁(のうりょう)
- 小脳(しょうのう)
- 海馬(かいば)
これらの部位を詳しく見ていきましょう。
脳梁(のうりょう)
ピアノによって変化する脳の部位、1つ目は脳梁(のうりょう)です。
脳梁は脳の真ん中にあり、左脳と右脳をつなぐ役割をしています。
“左脳と右脳をつなぐ”とサラッと言ってしまいましたが、これは大変重要なことです。
まず前提として、左右の脳の役割を簡単にお話します。
左脳は言葉や文字など、言語の認識を行います。
一方右脳は、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚など五感を通した感性・感覚の認識を行います。
この右脳と左脳を結ぶことができないと、例えば視覚情報として「りんご」を認識したとして、言語情報と結びつけることができないので、総合的にその物体が「りんご」だと認識できなくなってしまいます。
ピアノを弾くことでこの脳梁が太くなるようですが、そもそも脳梁は男性よりも女性のほうが太いのだとか。
脳梁が太いことによる効果として順天堂大学医学部名誉教授の新井康允さんは、以下のように述べています。
新井氏は、脳梁膨大部の大きさが女で男より大きいということは、視覚情報や聴覚情報の処理の仕方に男女で違いのある可能性を示していて、女が意識しないで、きめ細かくものを見ることが出来、音や言葉をよく聴き取ることが出来るのはこのためかもしれない、と好意的に捉えている。これはまた、女が男のしぐさや声のトーンを聞いただけで、そこに何が隠されているのかが直感でわかる、ということでもある。妻が知らないだろうと夫は思っていても、バレバレなのだ。
引用:e-doctor
ピアノを練習して脳梁が太くなることで、上記のような「直感力」や「傾聴力」のようなものが鋭くなるのかもしれませんね。
それならばぜひ、男性の皆さまに鍛えていただきたいところです…!(笑)
小脳(しょうのう)
引用:交通事故サポートセンター
ピアノによって変化する脳の部位2つ目は、小脳(しょうのう)です。
脳を大きく分けると、大脳、小脳、脳幹の3つに分けることができます。
そのうち、小脳は大脳の下に存在する部位です。
“小さい脳”と書きますが、この小脳は脳において実はとても重要な役割が詰まっています。
まず、小脳は平衡感覚や、力の入れ具合、バランスなど、運動調節の機能を司っています。
また、小脳は運動調節だけでなく、感情や記憶、注意力など、さまざまな能力と関係している可能性が最近の研究で示されています。
ピアノを練習すると小脳の働きがよくなるそうですが、この小脳にはまだ解明されていないようなたくさんの能力との関係がありそうですので、その恩恵は計り知れませんね…!
海馬(かいば)
ピアノによって変化する脳の部位3つ目は、海馬(かいば)です。
海馬は、大脳の一部にあるタツノオトシゴのような形をした部位になります。
海馬の役割は、一言でいうと「記憶の司令塔」です。
短期記憶と長期記憶の選別や、短期記憶の保存、そして長期記憶にもっていく情報を大脳に配送したりしています。
ピアノを練習することによってこの海馬の機能が良くなると、いうまでもなく記憶力の向上やアルツハイマーの予防につながります。
他にも、海馬がストレスの発生源になる視床下部の暴走を抑えることでポジティブな思考になるという効果もあると期待されています。
脳の部位を変化させるピアノ練習方法は??
ピアノ練習によって、脳の重要な部位(脳梁、小脳、海馬)を良い方向に変化させることができることはわかりました。
ただし、ただピアノを練習すればこの脳の変化を促すことができるわけではありません。
澤口先生は、脳の部位を変化させるピアノ練習方法として以下のように述べられています。
形としては、恐らく古典的な稽古の仕方がいいと思います。楽譜を見ながらではなく、ちょっと先を見ながら弾く、やがては見ないで弾く。(中略)この形を崩さないで通常の稽古をして頂きたいです。子どもは2~3年、大人でも6年くらい続けてほしいですね。
引用:PTNA
つまり、大人からピアノの練習で脳の構造を変化させるには、楽譜を先読みする、または暗譜することにより短期記憶、または長期記憶をして、その記憶をもとに手を動かす…という動きで脳に負荷をかける必要があります。
しかも、それを6年続けなければならないのですね。
ローマは一日にして成らず…改め、脳の変化は一日にしてならず…というところでしょうか。
ところで、澤口先生がおっしゃっている「見ないで弾く」方法のことを暗譜(あんぷ)といいます。
ここからは脳を変化させるためのピアノ練習方法、「暗譜の方法」についてご紹介します。
暗譜(あんぷ)とは
「暗譜(あんぷ)」とは、楽譜を見ないで音楽を演奏することです。
暗譜は、楽器の演奏の中でも特にピアノ、さらに言えばピアノのソロ演奏でよく用いられます。
ピアノと同じく鍵盤楽器である「チェンバロ」は、楽譜を用いて演奏することが求められますし、ピアノ演奏でも、他の楽器との合奏では暗譜は求められません。
また、暗譜には批判的な意見もあり、その理由としては「楽譜を見ないことでソルフェージュ(楽譜の読み方)が正確でなくなってしまう」や「楽譜に対して真摯でなくなってしまう」といったものが挙げられます。
ここでは、あくまで「脳の変化」を促すピアノ練習方法として、暗譜をご紹介します。
暗譜のやり方
一口に「暗譜する」といいますが、暗譜はかなり難しいです。
わたしも暗譜できたと思っていても、いざ発表会に出ると頭が真っ白になってしまったことはたくさんあります。
また、やみくもに暗譜しろと言われても戸惑ってしまいますよね。
そこで、おすすめの暗譜練習方法を3つのフレーズで紹介します。
曲の構造をイメージする
初めに、曲の大まかな流れ、構造をイメージするようにしましょう。
これは楽譜を見ながら練習していくなかで、常に「次」を意識しておくと暗譜するときにスムーズです。
細かい楽譜の記号などを最初から覚えるのではなく、最初は優しいイメージ、次に激しいイメージ、また優しいイメージ…といったように大まかなイメージを掴んでおくと、記号を速く覚える助けになります。
曲全体を、俯瞰して把握するような感じです。
細切れに覚えていく
曲全体の流れをイメージできるようになったら、次はセクションごとに区切って覚えていきましょう。
1つのセクションは大体4小節で区切られます。
この時、常に最初からではなく、途中のセクションからも弾けるように練習するのがポイントです♪
また、曲調の変わリ目のセクションは、記憶が飛びやすいので、重点的に練習しましょう。
ゆっくり弾く
セクションごとにしっかり覚えて弾けるようになったら、最後に全体を通して「ゆっくり」弾いてみましょう。
楽譜の一つ一つの記号をごまかさないで、しっかり思い出しながら弾く感覚です。
速く弾くと、細かい記号が抜けてしまっても、記憶があやふやでもなんとなく指が覚えていたりして弾けてしまうことがありますが、この状態ではかなり危険です。
なんかわからないけど弾けてしまう…ところをなくして、確実に楽譜のすべてを思い起こしながら弾けるようになるまで、自信をつけていきましょう。
ピアノは脳を変化させる?!効果的な練習方法もご紹介!! まとめ
ここまで、ピアノ練習による脳の変化とそのための練習方法である暗譜について、ご紹介してきました。
以下に、内容をまとめます。
- 左脳と右脳をつなぐ脳梁
- 運動調節能力を司る小脳
- 記憶の司令塔である海馬
- 曲全体の構造をイメージする
- 4小節ずつ、細切れに練習する
- 全体を通してゆっくり弾く
ピアノ練習を継続して、脳の構造を良い方向に変化させていきましょう♪
最後までお読みいただき、ありがとうございます。