ピアノの調律頻度はどのくらい?定期的に継続して不具合を早期発見しよう!

 

ピアノの調律はどのくらいの頻度で行えばいいのでしょうか?

 

いつもいい状態をキープするには、定期的にメンテナンスをするのが一番です。

 

弾かなくなってしまったピアノも調律を継続しておけばすぐ再開できますよ。

 

この記事では、いつも正しい音程を保つために必要な調律について解説します。

 

・調律頻度と手順
・調律を依頼するときの注意点
・日頃のお手入れ方法

 

また、ピアノに最適な設置場所や長い付き合いになる調律師の選び方のポイントなども解説しています。

 

これからピアノを購入予定の方はぜひ参考にしてみてください。

 

ピアノの調律は必要?

 

ピアノはよく人の身体に例えられますが、ピアノの調律は人間の定期健診と同じです。

 

定期的に見てもらうことでピアノの不具合をいち早く発見できますね。

 

ピアノの寿命は30~60年といわれています。

 

ピアノの寿命に開きがあるのは、ピアノの扱い方によって変わるからです。

 

定期的なメンテナンスやピアノの設置場所に気を配ることで長い期間ピアノを楽しめます。

 

ピアノの調律頻度に明確な決まりはありません。

 

しかし、音がおかしいと思ったらすぐ見てもらうと良いでしょう。

 

大事なのは、定期的な調律を継続すること

 

調律が、ピアノの楽器としての寿命を延ばしてくれますよ。

 

また、ピアノは基本的に空調にとても敏感な楽器です。

 

ピアノに最適な環境は、温度15~25℃、湿度40~60%といわれています。

 

ピアノを置く部屋の室温が年間通して安定している場所を選びましょう。

 

ピアノのそばに室温計を置いておくといいですね。

 

除湿器や加湿器、観葉植物などを上手に活用してください。

 

調律頻度の目安は?

ピアノの調律頻度は、一般家庭なら年1回で十分です。

 

調律頻度の目安は次のようになります。参考にしてみてください。

 

  • 新しいピアノ→音が落ち着くまで年数回の調律が必要
  • 数年たったピアノ→年1回で十分
  • 古いピアノ→調律頻度が多いと部品やピアノ自体に負担がかかるため数年に1回が妥当

 

    ピアノの使用頻度や置かれている環境などで多少誤差はあります。

     

    小さなお子さんの練習や大人が趣味で少し弾く程度であれば年1回で十分です。

     

    また、ほとんど弾かないあるいは全然弾いていないピアノであれば、数年に1回といった感じです。

     

    環境別には、部屋の空調変化が激しいとピアノに負担が掛かるので、半年から1年に1回のペースで点検してもらうと良いでしょう。

     

    部屋の空調変化があまりなく年間通して安定している部屋にピアノを設置している場合は、数年に1回で十分です。

     

    しかし、あまり間が開きすぎると部品の劣化に気づきにくくなるので5年に1回は調律をしてもらうのがベストです。

     

    調律しないとどうなる?

    ピアノは放っておくとどんどん音がずれていきます

     

    音のずれたピアノで練習を続けていると上達を妨げたり手を痛めたりする原因になります。

     

    ピアノの音がずれる原因は、湿気によるカビだったり内部部品の劣化だったりします

     

    ピアノの外装はほとんどが木材でできていますね。

     

    木材は温度や湿度の変化で変形しピアノ全体のバランスを崩します。

     

    また、乾燥によるねじの緩みが雑音の原因になります。

       

      内部部品の劣化では、部品に使われている金属部品のサビです。

       

      ピアノを弾かなくても弦はサビて切れてしまいます。

       

      弦を叩くハンマーヘッドに使用されている羊毛フェルトの虫食いやカビも音を悪くさせる原因の一つです。

       

      弦は叩くたびに少しずつ伸びていき音の高さがずれる原因になります。

       

      調律をしないとアクション(鍵盤をおさえることで弦を叩く仕組み)がずれていき、鍵盤をおさえたときの感触が変わっていきます。

       

      調律の頻度を長くすると、これらの不具合に気づけません

       

      したがって、劣化が進み結果的に大掛かりなメンテナンスをしないと弾けなくなります。

       

      調律にかかる費用

      費用はグランドピアノで15,000円前後、アップライトピアノで12,000円前後になります

       

      一般的に大手ピアノメーカー直営楽器店は費用が高く、個人経営の調律事務所は比較的低予算で依頼できます。

       

      また、長期間調律していないピアノは内部の破損状態によって高額になる場合もあります。

       

      だいたい30,000円前後から100,000円ほどの予算を考えておくと良いですね。

       

      ※調律にかかる費用は業者によって違いがあります。

       

      ピアノの調律手順

       

       

      調律しないピアノは、チューニングしていないギターと同じです。

       

      音に違和感を感じたら調律のタイミングだと思ってみてもらいましょう。

       

      調律師は主に内部の劣化具合をチェックします。

       

      内部に積もったホコリなどを取り除く作業をしてから音程のずれを戻していきます

       

      グランドピアノとアップライトピアノで工程内容に多少違いがありますが、手順は同じです。

       

      ピアノの状態チェックと清掃

      ピアノの音やペダルの状態をチェックし、内部の清掃をします。

       

      グランドピアノ

      バランスピンとバランスホールのバランスが悪いと鍵盤の動きが悪くなったり雑音の原因になります。

      ピンの汚れやサビから鍵盤の動きが鈍くなったり重くなったりします。

      鍵盤のバランスホールが固く鍵盤の動きが鈍い場合は鍵盤を外して、バランスピン・フロントピンを研磨した後バランスホールを調整します。

      • バランスピンとは、鍵盤中央付近にあるピンのこと。鍵盤の動きの視点。
      • バランスホールとは、バランスピンに鍵盤を通すため中央部に空いている穴のこと。
      • バランスピンを中心に鍵盤がシーソーのように動きます。
      • フロントピンで鍵盤がふらつかないように動きを支えます。

       

      棚板を調整し、乾燥で緩んでしまったねじを締めなおします。

       

      調整が終わったら鍵盤、弦、ペダルの状態チェック

       

      必要に応じてアフタータッチを最適な状態になるように整調します。

       

      アップライトピアノ

      鍵盤の動き、音のピッチや響き、ペダルの状態チェックをします。

      外装、鍵盤を外して内部の清掃後に、弦、駒、響板の状態をチェックします。

      ペダルや鍵盤の高さ・左右の間隔・沈む深さを整えてからピアノアクションを整調します。

       

      整調とはピアノのタッチや発音を整えるだけでなく、良い響きを保つためにも重要な作業です

       

      調律・整音する

      内部の状態を整えて調律後に音程を調整していきます。

       

      まず調律ですべての音程を合わせます。

       

        調律後、1音に対して3本張られた弦の音程が同じになるように調整して、音色の不揃いがないように整音していきます。

         

        整音とは、ハンマーに紙やすりをかけたりして音色を必要に応じて調整する作業です

         

        仕上がりの確認と外装、鍵盤の清掃

          最後に音色、ペダルの状態など全体のバランスを確認します。

           

          外装を戻して、外装、鍵盤の汚れを拭き取り元の状態に戻します。

           

          弾き手か調律師が音の確認など仕上がりをチェックします。

           

          グランドピアノの調律時間の目安は2時間~2時間半ほどかかります。

           

          アップライトピアノでは1時間半~2時間ほどかかるので時間に余裕のある時に予約を取ると良いですね。

           

          調律を依頼するときの注意点

           

          ギターは弾く前に自分でチューニングをしますが、ピアノは定期的に調律師に見てもらいます。

           

          ピアノは誰でも簡単に音を出せますが、内部構造はとても複雑に作られています。

           

          したがって、ピアノの調律はピアノの構造を熟知している調律師に任せましょう

           

          とはいえ、良い調律師に出会えるまでに時間が掛かるかもしれません。

           

          根気よく読者様とフィーリングが合う調律師を見つけてください。

           

          良い調律師の判断基準を私の経験からお伝えしますね。

           

          チェックポイントは4つです。

           

          • 技術力と経験
          • 価格
          • サービス力
          • 他人の評価

           

          悪徳業者に引っかからないために様々な角度からチェックしてみると良いですよ。

           

          技術力と経験

          調律師になるにはピアノ工房や学校で教えを受けるなどして技術を身に付けます。

           

          その後、楽器店で経験を積みやがて独立するというのが一般的な流れです。

           

          調律師としての経歴や仕事内容から個性や感性、特長をチェックします。

           

          自分の感覚と合う何かが見つかるまでたくさんの調律師情報を集めてみてください。

           

          ネットの口コミなどコメント欄も参考にしてみてください

           

          価格

          調律師によっては、同じサービス内容でも価格が変化します。

           

          料金を比較して妥当だと思える値段を選択してください

           

          料金が高いからと言って、よい調律師とも限りません。

           

          他の評価ポイントも見て総合的に判断することをおすすめします。

           

          サービス力

          無理なくコミュニケーションが取れる人を選ぶと良いでしょう。

           

          客の意向を尊重し最大限要望に応えようとしてくれる調律師は、優れたサービス力を持っていると判断できます。

           

          普段弾いている曲に合う音色かや、どういう音を求めているのかなど、弾き手が満足する音を追求するのが調律師の仕事です。

           

          自分本位な調律をする調律師はやめておいた方がいいかもしれません。

           

          基本的なことですが、笑顔で親切な対応をしてくれる調律師なら疑問に思ったことを聞きやすいですね。

           

          他人の評価

          他の方が付けた評価でチェックするポイントは、調律を受けたお客様の満足度です

           

          多くの評価を見ることで客観的に判断できるようになります。

           

          評価の中には人柄や人間性に対する評価も含まれています。

           

          読者様とフィーリングの合う調律師の方を根気よく探してくださいね。

           

          調律前にやっておくこと

          調律の時間までに部屋の状態を弾き手がいつも弾いている状態にしておくとすぐ作業に取り掛かれます。

           

          木は湿気の多い夏には膨らみ、乾燥している冬は縮む性質があります。

           

          そのため、調律するときの部屋の状態は、いつもピアノを弾いている状態に合わせる必要があります。

           

          2時間前までには部屋の状態を整えておくよう心がけましょう

           

          調律を依頼する時間帯

          調律をお願いする時間帯は、なるべく弾き手の在宅中がベストです。

           

          調律師は弾き手から直接不満を聞き出せるので音のおかしい原因を探りやすくなります。

           

          例えば、音の出しづらい原因が調律以外の場合です。

           

          調律は出来ていても鍵盤が重いと感じたのは、椅子の高さが合っていなかったということがあります。

           

          弾き手が子供の場合、最適な椅子の高さは大人のちょうど良い高さとは異なりますね。

           

          椅子の高さは、座ったときに手首と肘のラインが地面と水平になるあたりが理想的です

           

          足が地面につかない場合は、踏み台などで足置き場を作るなどの処置を施します。

           

          家庭でできるお手入れ方法

           

          ピアノを長く愛用するために読者様自身ができるお手入れ方法を紹介していきます。

           

          ピアノの内部構造はとても複雑にできているので内部には手を付けないのが無難です。

           

          しかし、外側の皮脂汚れや埃を拭き取ってピアノを清潔に保つといったお手入れはしておきましょう。

           

          クロスでピアノの外装、鍵盤を拭き上げます

           

          クロスは柔らかい綿のネル生地が傷をつけずに拭けて便利です。

           

          外装用と鍵盤用の2枚用意しておくと良いですね。

           

          ピアノの表面ついた埃は柔らかい羊毛の毛ばたきではらいます

           

          市販の化学モップには、ピアノに適さない薬剤が含まれていることがあるので使用は避けた方が無難です。

           

          鍵盤は一番汚れやすい場所です

           

          鍵盤の清掃用に専用のクリーナーが販売されています。

           

          鍵盤の材質によって使えないものもあるので、調律師や楽器店で相談の上準備することをおすすめします。

           

          また、ピアノは繊細な楽器ですので、環境を整えてあげるのも有効です。

           

          冬、夏場に使用するエアコンの風は、直接ピアノに当たらないように注意する

           

          冬場は、ガスファンヒーターや灯油ストーブをピアノの近くに置かない

           

          これだけでもずいぶん違いが出てきます。

           

          電気カーペットや扇風機、赤外線ヒーターは部屋全体への影響が少ないので、ピアノへの影響もあまりありません。

           

          ピアノの調律は適切な頻度で美しい音色を楽しもう

          ピアノの調律頻度についてお伝えしました。

           

          ピアノを長く楽しむ方法
          • 年1回は必ず調律をする
          • 使っていないピアノも数年に1回は調律をする
          • 設置場所は空調管理がしやすい場所を選ぶ
          • 費用はピアノの劣化具合によって変化する
          調律手順
          • ピアノの状態チェックと内部清掃
          • 整調する(整調とはピアノのタッチ感を決めて必要に応じてアフタータッチを最適な状態に調整すること)
          • 調律する(すべての音が適切な音程になるように調整すること)
          • 整音する(音色が不揃いにならないようにハンマーを紙やすりで削るなどして音色の調整をする)
          • 仕上がりの確認と外装、鍵盤の清掃をする

          全体のバランス、タッチ感、ペダルチェックを確認し、外装を戻して汚れを拭き取る。弾き手か調律師が音の確認をする。

          調律を依頼する際の注意点
          • 調律は自分でせず、必ず調律師に頼みましょう
          • 悪徳業者に引っかからないように経歴、値段、第三者の評価をチェックし総合的な判断をする
          • 調律開始2時間前までに部屋の状態を整えておく
          • 調律の予約時間を弾き手の在宅時に合わせる

           

          ピアノはきちんとケアをすればいつまでも美しい音色を奏でてくれます。

           

          そして、毎日ピアノに触れることで音の違和感にいち早く気づくことができますよ。

           

          最後までお読みいただきありがとうございました。