ピアノを弾く指が思うように動かず、練習してもなかなか上達しないということはありませんか。
がんばって譜読みをして、たくさん練習して、やっと楽譜通りには弾けるようになった。
でも…
- 指が転んでしまってなめらかに弾けない
- 音はあっているのにきれいに聞こえない
- 細かい音がもたついてしまう
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。
ピアノは、軽く押すだけでも音が鳴る楽器。
弦楽器や管楽器などのように、音を出すのも難しい、ということはありません。
しかし、ピアノを美しく奏でるには、10本すべての指をしっかりコントロールしなくてはなりません。
そのためには、指を独立させる必要があります。
この記事では、指を独立させるための練習方法を解説します。
指が独立すると、ピアノがぐんと上達しますよ。
ぜひ最後までお読みください。
- ・指を独立させる意味
・指が独立するための練習方法
・指を独立させて弾きたい曲
指を独立させる意味とは?
指が独立していると、どのような演奏になるのでしょうか。
ピアノ演奏では、「音の粒を揃えて」弾くようにといわれます。
音の粒を揃えるとは、音を均一になめらかに弾くということです。
よく真珠のネックレスに例えられますね。
指が独立していると、音の粒が揃うようになりますよ。
モーツァルト/ピアノソナタを例に指の独立を考えよう
ここで、モーツァルトのピアノソナタを聴いてみましょう。
演奏は、今注目の若手ピアニスト藤田真央さんです。
モーツァルト/ピアノソナタ 16番 第1楽章 ハ長調(K545)
引用:YouTube
素晴らしい演奏ですね。
このようにチャーミングに弾けたら、どんなにステキでしょう。
軽やかなトリルやなめらかなフレーズ、真珠の粒がキラキラ輝いているようですね。
音の粒が揃っているのがわかります。
多くのピアノ学習者が通るこの曲。
読者様の中でも、練習されたことがある方は多いのではないでしょうか。
技術的な難易度は高くなく、小学生でも学べる曲なのですが、上手に弾くには難しいですよね。
指が独立していないと、デコボコのフレーズになってしまい、美しく聞こえないのです。
指の独立はなぜ難しいの?
人間の指は、長さや太さも違い、弱い指強い指がありますね。
どの指で弾いても均一の音にするには、10本の指がそれぞれ独立して動かなくてはなりません。
読者様は、ド・レ・ミ・ファ・ソを一音一音ゆっくり弾いたとき、どの指が弱いと感じますか?
薬指や小指が弱いと思われる方が多いのではないでしょうか。
特に薬指の独立は難しく、薬指を弾くと小指まで一緒に動いてしまうことはありませんか?
人差し指から小指までの腱はつながっていて、ひとつの指を動かそうとすると他の指も引っ張られてしまいます。
また、指を1本だけ動かすには、脳の神経細胞をより働かせる必要があります。
例えば、薬指1本だけを動かそうとすると、「薬指を動かす」かつ「他の指は動かさない」と命令が増えてしまいます。
指の練習とは、脳のトレーニングでもあるのです。
次に、指を独立させるための具体的な練習方法をご紹介しますね。
指を独立させるための練習方法
大人のピアノ練習には、時間の制約があります。
学生の頃のように何時間も練習できるわけではありませんね。
限られた時間の中で、できるだけ有効な練習方法を取り入れましょう。
ハノン
ピアノの指の練習曲といえば、王道のハノン。
ハノンを学習することで、「音の粒を揃える」「一定のリズムで弾ける」などが身につきます。
また、全24調のスケールやアルペジオなども学べるので、調性感もきたえられますよ。
ハノンの練習方法については、こちらの記事を参考にしてください。
ピアノ初心者にハノンは実は難しいんです!基礎ができていないと、かえって逆効果になってしまいますよ。この記事では、初心者が効果的にハノンを取り入れるためのポイントをまとめています。指の訓練をして、楽曲のバリエーションを増やしましょう!
ドホナーニ
次におすすめしたい教則本がドホナーニです。
ドホナーニは、指の独立にとても効果的です。
難しい本なので、この記事では1番だけをとりあげます。
1番を継続して練習するだけでも、指の動きが変わってきますよ。
ただし、無理をしすぎると手を故障してしまうことがあります。
必ず次の注意点を確認してください。
- ごく弱い音で弾く。けっして強い音で弾いてはいけない。
- 押している指は鍵盤が上ってこない程度に。力を入れて押さえつけてはいけない。
- 腕の力を使わない、指だけで弾く。
- 速く弾かない。脳からの指令を意識する。
- 左右別々に練習してから両手で弾く。
音符が多く楽譜が少し読みづらいので、文字でも説明しますね。
まず、片手ずつゆっくり練習してください。
力が入っていると思ったら、いったんストップして力を抜いてからやり直しましょう。
【A】 ※数字は指番号
押さえる音(和音) | 動かす音 (和音を弾いたまま) | |
右手 | ドレソ(1・2・5) | ミ・ファ・ミ・ファ(3・4) |
左手 | ソラシ(3・2・1) | ミ・ファ・ミ・ファ(5・4) |
【B】
押さえる音 | 動かす音 | |
右手 | ドレミ(1・2・3) | ファ・ソ・ファ・ソ(4・5) |
左手 | ミラシ(5・2・1) | ファ・ソ・ファ・ソ(4・3) |
【C】
押さえる音 | 動かす音 | |
右手 | ドレファ(1・2・4) | ミ・ソ・ミ・ソ(3・5) |
左手 | ファラシ(4・2・1) | ミ・ソ・ミ・ソ(3・5) |
【D】
押さえる音 | 動かす音 | |
右手 | ドレ(1・2) | ファ・ミ・ソ・ミ(4・3・5・3) |
左手 | ラシ(2・1) | ファ・ミ・ソ・ミ(4・5・3・5) |
【E】
押さえる音 | 動かす音 | |
右手 | ドレ(1・2) | ファ・ソ・ミ・ソ(4・5・3・5) |
左手 | ラシ(2・1) | ファ・ソ・ミ・ソ(4・3・5・3) |
【F】
押さえる音 | 動かす音 | |
右手 | ドレ(1・2) | ファ・ミ・ソ・ミ・ファ・ソ・ミ・ソ(4・3・5・3・4・5・3・5) |
左手 | ラシ(2・1) | ファ・ミ・ソ・ミ・ファ・ソ・ミ・ソ(4・5・3・5・4・3・5・3) |
【G】
押さえる音 | 動かす音 | |
右手 | ド・レ(1・2) | ミ・ファ・ミ・ファ・ソ・ファ・ソ・ファ(3・4・3・4・5・4・5・4) |
左手 | ラ・シ(2・1) | ミ・ファ・ミ・ファ・ソ・ファ・ソ・ファ(5・4・5・4・3・4・3・4) |
【H】
押さえる音 | 動かす音 | |
右手 | ドレ(1・2) | ミ・ファ・ソ・ファ(3・4・5・4) |
左手 | ラシ(2・1) | ミ・ファ・ソ・ファ(5・4・3・4) |
ピアニストの森本麻衣さんもドホナーニを推奨しています。
指の動きなどもわかりやすく説明されているので、こちらの動画をみてから練習することをお薦めいたします。
引用:YouTube
ドホナーニの楽譜は下記よりダウンロードしてご利用いただけます。
ドホナーニ 楽譜 無料 ダウンロード | ピアノ 楽譜 (ongakunoohanasi.com)
指の独立トレーニングで憧れの曲に近づこう
ハノンにしても、ドホナーニにしても、指の練習はとても単調で地道です。
飽きてしまうこともあるかもしれません。
モチベーションを保つために、憧れの曲を聴いてみましょう。
ドホナーニ解説でもご紹介した、ピアニストの森本麻衣さんの演奏から2曲をお届けします。
ショパン/幻想即興曲
引用:YouTube
ピアノを弾く人なら、一度は憧れる曲ではないでしょうか。
音がすべらかで優雅な演奏ですね。
動画を見ていると、指や腕の動かし方も参考になります。
リスト/愛の夢
引用:YouTube
難しい曲ですが、ピアノ学習者に人気のある曲です。
いつかは弾けるようになりたい!という方も多いでしょう。
譜読みもたいへんですが、指のトレーニングも継続してがんばってください!
他にも、バッハ、ベートーヴェン、シューベルト、ドビュッシーなど、いつか弾いてみたい憧れの曲を聴くと、モチベーションがあがりますよ。
クラシックに限らず、松任谷由美や藤井風など、お気に入りのアーティストや話題の曲を弾くのも楽しいですね。
リズムが複雑だったり、クラシックとは別の難しさもありますが、楽譜も入手しやすいので気軽にチャレンジできますよ。
また発表会など、演奏を聴いてもらうことで、曲の完成度が格段とあがります!
「いつか上手になってから」ではなく、日程を決めてしまいましょう。
練習しなくてはならない状況をつくることで、もっともっとピアノが上達しますよ。
個人で学習されている方や、人前は苦手という方は、仮想演奏会に参加してみませんか。
ピアノ仲間も増えて、読者様のピアノライフがより豊になりますよ。
指を独立させるために:まとめ
ここまで、ピアノにおける指の独立について解説してきました。
- 音の粒を揃えるためには、指の独立トレーニングが必要
- 指の独立が難しいのは、手の構造と脳の指令が届きにくいから
- 指を独立させるためには、ハノンやドホナーニのトレーニングが効果的
- 指の独立トレーニングを続けるために、憧れの曲を聴いてモチベーションを保ちましょう
ピアノの指練習は、根気が必要です。
曲の中で部分的に練習すればいい、という考え方もあります。
しかし、曲の前に少しでも指のトレーニングをすることで、ピアノのための指はもっと鍛えられます。
孤独で単調なトレーニングの先には、読者様の憧れの曲があります。
もっと上手になりたい、次はあの曲が弾きたい!
そのように楽しみながらピアノを続けていければいいですね。
これからも、読者様の実りあるピアノライフを応援いたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。