憧れていたピアノをはじめて、いくつかの曲が弾けるようになった!
でも、シャープやフラットがある楽譜は避けてしまう。
このようなお悩みはありませんか?
譜読みがスラスラできたら、レパートリーがどんどん増えていきますね。
ハ長調の楽譜ばかりを選ばなくていいのです。
簡単な曲ばかりを練習していては、前に進めません。
シャープやフラットの苦手意識がなくなるように、ルールをしっかり身につけてしまいましょう。
はじめは混乱しても、曲を弾いていくうちに、徐々に慣れてきますよ。
この記事では、シャープやフラットの意味やルールを詳しく解説します。
ぜひ、最後までお読みください。
・シャープとフラットの意味
・シャープやフラットのルール
・ダブルシャープ、ダブルフラットとは
シャープとフラットの意味
「シャープってことは黒鍵でしょ?」
とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに多くの場合は黒鍵になりますが、白鍵になる場合もありますよ。
シャープとは半音上げることです。
また、フラットとは半音下げることです。
半音は、ピアノで最も小さい音の幅。
例えば、ソを半音上げるとソ♯、半音下げるとソ♭になります。
これは半音階です。
ド・ド♯(レ♭)・レ・レ♯(ミ♭)・ミ・ファ ・ファ♯(ソ♭)・ソ・ソ♯(ラ♭)・ラ・ラ♯ (シ♭) ・シ・ド
と、半音ずつ上がっていきます。
ミ♯とシ♯がありませんね。
では、ピアノの鍵盤をみてみましょう。
ミとファの間、シとドの間には黒鍵がありません。
ミの半音上はファ、シの半音上はドになります。
つまり、ミ♯はファ、シ♯はドです。
このように、シャープやフラットの付く音は、黒鍵だけとは限りません。
シャープやフラットのつく順番
次のように、ト音記号やヘ音記号のすぐとなりにシャープやフラットがついていることがあります。
これは、「ここからは、ファの音がシャープになります」という意味です。
これを調号といいます。
音符の隣にシャープはありませんが、ファはシャープになります。
調号は、つく順番が決まっています。
シャープの場合:ファ、ド、ソ、レ、ラ、ミ、シ
フラットの場合:シ、ミ、ラ、レ、ソ、ド、ファ
シャープがひとつの場合は、必ずファ、2つの場合は、ファとド、などシャープの数で、どの音がシャープになるかが決まってくるのです。
また、調号から調性を判断することができます。
シャープひとつの場合、ト長調かホ短調、2つ付くとニ長調かロ短調となります。
調性については、次の記事で詳しく解説しています。
ピアノの調を意識していますか?演奏表現にもつながる調性について解説!
臨時記号(シャープ・フラット)のルール
音符のすぐ隣についているシャープやフラットのことを臨時記号といいます。
例えば、次の場合、調号はありませんが、ファにシャープをつけて弾かなければなりません。
弾き方:ソ・ファ♯・ソ・ファ♯
では、臨時記号のルールについて、ご説明していきます。
同じ小節の中で有効
②のファは、①と同じ小節なので、シャープになります。
③のファは①と別の小節なのでシャープはつきません。
弾き方:ソ・ファ♯・ソ・ファ♯・ファ
タイで小節をまたいでいる場合は有効
②と③がタイになっているので、③にもシャープがついたままになります。
弾き方:ソ・ファ♯・ソ・ファ♯ー
1オクターブ以上離れていると無効
②のファは①のファの1オクターブ上なので、シャープはつきません。
弾き方:ソ・ファ♯・ソ・ファ
同じ高さの音であれば、ト音記号でもヘ音記号でも有効
②はヘ音記号ですが、①と②は同じ高さのファなのでシャープがつきます。
弾き方:ソ・ファ♯・ソ・ファ♯・ミ・レ・ド・レ
また、ナチュラル♮は、シャープやフラットを付けたを音を元の音にもどす記号です。
①のシャープは、②でナチュラルになっているので、②にシャープはつきません。
弾き方:ソ・ファ♯・ソ・ファ
なお、フラットについても、同じルールになります。
このように考えると混乱してきますが、曲を弾きながら少しずつ慣れていきますよ。
では、有名な曲の中からみていきましょう。
ベートーヴェン「エリーゼのために」の冒頭部分でご説明します。
ミ・レ♯・ミ・レ♯・ミ・シ・レ・ド・ラ ♪~
有名なフレーズですね。
1小節目、①のレにはシャープがついています。
2小節目は無効になるため、②のレでまたシャープ
同じ2小節目ではシャープが有効なので、③でナチュラルが付いています。
④と⑤のソは1オクターブ以上離れているので、⑤にもシャープを必要がありますね。
ダブルシャープ・ダブルフラットとは?
読者様は、次のような記号をみたことはありますか?
ダブルシャープといいます。
半音上げて、さらに半音上げるという意味です。
この場合は、ファが半音上がって、さらに半音上がるので、ソになります。
『ソ・ラ・ソ・ソ』と弾きますよ。
ダブルフラットの場合も、考え方は同じです。
半音下がって、さらに半音下がるので、ラになります。
『ソ・ラ・ソ・ラ』と弾きます。
わざわざ「ファ」のダブルシャープにしなくても、「ソ」の音をかけばいいのでは?
と思ってしまいますよね。
しかし、そうすると、音階が成り立たない調があったり、かえって読みにくい楽譜になってしまったりするのです。
一例として、ショパン「幻想即興曲」のあるフレーズをみてみましょう。
ソ♯、ラ、ソ♯、ファ×(ソ)※、ソ♯、ド♯、ミ、レ♯、ド♯、レ♯、ド♯、シ♯(ド)、ド♯、ミ、ソ♯
※ ×はダブルシャープ
このように弾きます。
『ソ♯、ファ×、ソ♯』の部分を『ソ♯、ソ♮、ソ♯』と書いたとします。
すると、全部同じ音になってしまって、かえって見にくく感じませんか?
音の変化が感じ取れない譜面になってしまうのです。
ダブルシャープが出てくると、はじめは驚くかもしれません。
ゆっくりでもいいので、意味をきちんと考えて読めば、混乱することはありませんよ。
シャープやフラットに慣れるには
シャープやフラットについては、文字だけの説明では難しそうに感じてしまうかもしれません。
どんどん、曲を弾いていくことが、シャープやフラットに慣れる近道です。
間違った音を弾くと、アレ?という音がしますので、すぐに気がつきますよ。
調号の多い曲は、簡単に弾くために、ハ長調などに移調した楽譜もあります。
しかし、最終的には、原曲で弾きたいですよね。
中級者や上級者にとっても、難しい楽譜はたくさんあります。
クラシックピアノの学習者は、譜読みから逃れることはできません。
大丈夫です!
譜読みにはルールがあります。
わからなければ、ルールにしたがって、数えればいいのです。
ゆっくりでもがんばっていれば、必ず前に進みます。
弾いては立ち止まり、また弾いては立ち止まり、それを繰り返していくうちに、シャープやフラットも怖くなくなりますよ。
シャープやフラットの曲にどんどんチャレンジしましょう!
ここまで、シャープやフラットの読み方やルールについて解説してきました。
最後にまとめます。
シャープ:半音上げる
フラット:半音下げる
シャープの場合:ファ、ド、ソ、レ、ラ、ミ、シ
フラットの場合:シ、ミ、ラ、レ、ソ、ド、ファ
・同じ小節の中で有効
・タイで小節をまたいでいる場合は有効
・1オクターブ以上離れていると無効
・同じ高さの音であれば、ト音記号でもヘ音記号でも有効
ダブルシャープ:半音上げて、さらに半音上げる
ダブルフラット:半音下げて、さらに半音下げる
シャープやフラットがたくさんついていると、練習どころか譜読みの段階で諦めたくなる気持ちもわかります。
しかし、簡単な曲ばかりを弾いていても、譜読みの苦手意識はなくなりません。
いきなりシャープが5つもついている曲を選ぶ必要はありません。
はじめは、シャープひとつからがんばってみましょう。
新しい曲にチャレンジするとき、ワクワクしますよね。
そのワクワク感を大切に、一歩ずつ進んでいってください。
これからも、読者様の実りあるピアノライフを応援いたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。