ハノンってよく聞くけど、ハノンがよくわからない。
指の練習に良いと知ったけど、難しそうだし、ハノンをどうやって取り入れればいいのかわからない。
ハノンに興味をもった読者様、そんな風に思っていませんか?
残念ながらハノンは決して、初心者に優しいものではありません。
楽譜を開くと、あふれんばかりの音符がずらっと並び、初めて見る方はびっくりされるかもしれません。
「私には無理かも。」
そう思うかもしれません。
しかし、多くのピアニストやピアノを習う方が取り組むハノンだからこそ、ピアノ上達への秘密が盛りだくさんに詰まっています。
今回お伝えする内容は、以下になります。
- ピアノ初心者にハノンが優しくない理由
- ハノンの中身の紹介
- ピアノ初心者なら知っておきたい、ハノンの効果的な進め方
ピアノ初心者がハノンを取り入れるためのポイントを押さえ、さらなる高みを目指しましょう!
ピアノ初心者にハノンは難しい!
なぜピアノ初心者にハノンが優しくないのかを説明する前に、まずはハノンとは何かについて知っておきましょう。
ハノンは指の訓練のための練習曲集
ハノンは指の練習に重きを置いたピアノ教本です。
フランスの作曲家シャルル・ルイ・ハノン(アノン)が1873年に出版した練習曲集です。
ハノン氏は長年ピアノの演奏について考えた結果、5本の指を平均して訓練することで、どのような曲でも弾くことができると考えました。
そうして生まれたのがハノンでした。
ハノンはピアノ初心者向けではない?!
しかし、ハノンは音楽業界では初心者向けではないと言われています。
ハノン氏はこの楽曲集について、「慣れれば1時間で弾ける」と言っておりますが、一流のピアニストであっても1時間で全集クリアするのは一握りであると言われています。
実際に楽譜を見るとわかるのですが、ハノンの本来の理想基準スピードは108です。
メトロノームを実際動かすと初心者には結構速いスピードだとわかります。
最低基準スピードの60でも、難しいと感じられるかもしれません。
つまり、ハノン教本はある程度ピアノの弾き方が身に付き、手のフォームなどが固まっている人でないと取り入れるのが難しい教本なのです。
手のフォームが安定せず、正しい運指ができないまま取り入れてしまうと、手を痛める原因となってしまったり、変な癖がついたり等、かえって逆効果となってしまいます。
ピアノを始めたてで、「指番号を覚えるところから始めたい!」という方は、まずは指番号や指の使い方を練習してみましょう。
指番号についての記事はこちらからどうぞ。
ハノンは初心者には取り入れられないの?
正しく手を動かせるのであれば、ハノンの効果を十分に受けられます。
ハノンは指の訓練ゆえに、ピアノの技術向上を促すように作られています。
ハノンには以下の目標が定められています。
- 指を動きやすくすること。
- 指をそれぞれ独立させること。
- 指の力をつけること。
- つぶをそろえること。
- 手首を柔らかくすること。
- よい演奏に必要な特別な練習を全部入れること。
- 左手が右手と同じように自由になること。
引用:ハノン『全訳ハノンピアノ教本』株式会社全音楽譜出版社 2008年 1p
この目標のとおり、ハノンは指の運動に特化して作られているのです。
つまり、ハノンを継続的に練習に取り入れることで、上達のスピードはぐっと上がると考えられます。
指を自由に動かせるようになると、弾く速さも自在に操れるようになり、弾きたい曲のバリエーションも増えるでしょう。
良いことだらけですね!
ピアノ初心者が知っておきたい、ハノンの中身とは?
ハノンについて興味が湧いてきましたか?
ハノンを取り入れるには、まずはハノンについて知る必要があります。
次にハノンの中身についてお話ししていきますね。
ハノンの構成
ハノンには全60に渡る練習曲が載っています。
曲によって目的とされているテーマが違いますが、短いパターンの繰り返しが多いです。
後のページになると、音階や和音を同時に演奏する分散和音など、指の訓練となるような曲に仕上がっています。
- 1~31番までが指の体操的な練習
- 32~40番までが音階を通じて運指を鍛える練習
- 41~43番までがアルペジオ
- 44番以降は和音やオクターブなど、高度なピアノ技術を養うための練習
【用語解説】
アルペジオ・・・和音を構成する音を一音ずつ順番に弾いていくこと。
トリル・・・元の音と2度上の音とを早く繰り返し弾くこと。
構成を理解して進めることが効率よく吸収できるコツ
この構成からわかるように、すべての楽曲が目的をもって作られています。
そのため、自分のレベルに合わせて進められるところがハノンの良いところです。
そして、後のページになればなるほど、高度なテクニックを会得できます。
ですが、最初から最後まで一気に弾く必要はありません。
毎日短時間であっても、少しずつであっても、コツコツと継続することが大事です。
無理をせず自分のペースで進めていきましょう。
ピアノ初心者のためのハノンの効果的な進め方!
それでは、ハノンを取り入れたいと思っている方へ、ハノンの効果的な進め方についてお伝えしていきます。
ハノンを効果的に取り入れるためには、練習の進め方にポイントがあります。
一つずつお話ししていきますね。
速さにこだわらず、正確に弾くことを意識する
お伝えした通り、ハノンの課題には基準のスピードが設けられています。
ですが、最初は速さにこだわる必要はないので、正確に弾くことを意識しましょう。
弾く速さというのは、指が正しく動き、つぶをそろえて弾けるようになることで、無理なく自然に速さをつけることができます。
それよりも、楽譜通りに、指を一つひとつ丁寧に動かすことの方が大事です。
ゆっくりでもいいので、意識して取り組んでみましょう。
慣れてきたら、メトロノームに合わせて、60のテンポから弾けるように始めていきましょう。
はじめは10分程度でもOK
時間をかければかけるほど良い、というわけではありません。
ハノンの課題曲は指の練習曲であるため、規則的で機械的なフレーズが続きます。
そのため「楽しくない」と感じる方や、「ちゃんとした曲を弾きたい」という気持ちが出てくる方もいらっしゃるでしょう。
集中が切れてしまうと、正しく運指ができなくなったり、変な癖がついたりする原因となります。
はじめのうちは短時間で、集中して取り組むようにすると良いでしょう。
慣れてきたら、順番にこだわらず、自分に合った練習曲を選ぶ
ハノンは順番にこなすことで指を徐々に慣らしていくという効果がありますが、それでは最初の部分で集中が切れてしまうことになりかねません。
それは、性質の似たような訓練タイプが多いからです。
その時の自分にとって必要な、効果の高い課題をいくつか選定して取り組むと、集中してバランス良く指の練習ができます。
例えば、このような組み合わせはどうでしょう。
1番(指の体操)
10、11番(トリル準備練習)
18~20番(手を広げる練習)
目的に合わせて練習メニューを組むと、変化もあり、ただ弾くだけの練習で終わらずに済みますね。
練習曲にはどのような目的があるのか、楽譜にきっちり明記されています。
参考にしつつ、楽曲をいくつか選定して取り組まれることをおすすめします。
ハノンを弾く時に大切にしたいポイントは?
次にハノンを効果的に活かすために、大切にしたいポイントをお伝えしていきます。
- 音の大きさを均一に、つぶをそろえる
- 音の長さを正確に
- 肩や手首に力を入れない
楽譜に書かれていることを正確に、その上で無理なく行うことが大切となります。
音の大きさを均一に、つぶをそろえる
音のつぶを意識して弾くことで、指を1本1本独立させて動かす練習ができます。
それは一つひとつの音の大きさに通じるところもあるので、速さにこだわらず、1音1音丁寧に弾くことを意識しましょう!
音の長さを正確に
楽譜に書かれていることを正確に弾くということがとても大切です。
ハノンはリズム感も養える構成となっています。
スタッカートやアルペジオ、3連符など、さまざまな指示が楽譜に書かれています。
つぶを崩さず、正確な長さで楽譜を弾くことで、ハノンから受けられる効果をぐっと上げることができますよ。
肩や手首に力を入れない
肩や手首に力が入りすぎると、演奏もぎこちなくなってしまいます。
ケガの原因にもなり、腱鞘炎になってしまうこともあるので、リラックスして取り組むようにしましょう。
ピアノの指の使い方の基本である脱力とタッチについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
→ピアノの音色を美しくする指の使い方|脱力とタッチの基本と練習方法
実際の手の写真もありますので、ぜひ一度おさらいしてみてくださいね。
ピアノ初心者が効果的にハノンを取り入れる方法まとめ
今回は、ピアノ初心者がハノンを取り入れる時のポイントについてお伝えしました。
ピアノをやっている多くの人が取り組むハノンには、得られる効果がたくさんあるというのをわかっていただけたら嬉しいです。
初心者だからこそ、無理をせず、毎日少しずつ継続し、集中して取り入れるようにすることで、指の訓練に大きく役立てるものとなるはずです。
続けることで、弾ける楽曲にも必ず変化が起き、バリエーションが増えることは間違いないでしょう。
今回のポイントをおさらいします。
- 指の訓練のための練習曲集
- まったくの初心者には難しいが、正しく手を動かすことができれば、ハノンの効果を十分に受けられる
- 速さにこだわらず、正確に弾くことを意識する
- はじめは10分程度で集中して取り組む
- 慣れてきたら、順番にこだわらず、自分に合った練習曲を選ぶ
- 音の大きさを均一に、つぶをそろえる
- 音の長さを正確に
- 肩や手首に力を入れない
指をしっかりと訓練して、いろんな楽曲を自由に弾いて楽しいピアノライフを過ごしましょう!
こちらの教本ガイドでは、ハノンと合わせて取り組むのにオススメの教本を紹介しています。
→【ピアノの教本ガイド決定版】上達へのまわり道はしたくない!
ぜひ参考にしてみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。